Research Abstract |
社会基盤施設の安全性・耐久性は施設がおかれた自然環境,使用条件に強く依存する.これまでに,社会基盤施設における安全性・耐久性評価を行う際には,長期風観測データが必要であった.しかし,社会基盤施設の数の莫大さ(例えば,送電鉄塔23万基)とその地理的分布の広さ(例えば,鉄道総延長20200km)を考えた時,従来のような現地調査や実測によるアプローチでは自ずと限界がある.社会基盤施設の維持管理を効率的に行うためには広域高密度の風環境情報の整備が必要不可欠である. 本研究は,地域気象モデルを発展させ,更に微細な地形効果を考慮できる局地風モデルとを統合させることにより,任意地点における風環境予測システムを構築すると共に,全国をカバーする15万地点における1時間ごとの風速・風向,気温などの3次元数値気象情報の数年分を求め,データベース化する.そして,現地観測から得られた風向・風速・気温などの時系列データにより本システムの予測精度を検証することを目的とする. 平成16年度には,まずこれらの問題を解決できる新しい手法を提案した.この手法では地域気象モデルにより山岳地帯における風況予測精度を向上させると共に,微細な地形効果を考慮できる局地風モデルとを統合させることにより,任意地点における風環境予測を実現するとともに,現地観測データを用いて精度の検証を行った. 現地観測に関しては東北電力と四国電力の協力を得,竜飛ウインドパークにある10台の大型風車のナセルに風向風速計を設置し,風向・風速の時系列データを得ると共に,日本で最も有名な局地風の一つであるやまじ風の多発地点法皇山脈上の送電鉄塔に風向風速計,温度計を設置し,風向・風速・気温の時系列データを取得した.
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