2005 Fiscal Year Annual Research Report
確率微分方法式を用いた地震動位相のモデル化と非定常地震動模擬法の確立
Project/Area Number |
16360230
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 忠信 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00027294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 純男 京都大学, 防災研究所, 助教授 (70187293)
本田 利器 京都大学, 防災研究所, 助手 (60301248)
張 至鎬 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (70367051)
濱田 政則 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30164916)
吉田 郁政 武蔵工業大学, 工学部, 教授
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Keywords | 地震動模擬 / 位相特性 / 群遅延時間 / 確率微分方程式 / 応答スペクトル準拠地震動 / 耐震設計 / 地盤の非線形特性 |
Research Abstract |
本研究は地震動の位相特性の合理的なモデル化手法を確立し,モデル化された非定常位相特性の情報を用いてフーリエ振幅スペクトルを同定するための理論を開発した上で,非定常な時系列の新しいシミュレーション法を確立することを目的とする.地震動の位相特性をモデル化することは,地震動の非定常特性をモデル化することと同等である.したがって,時間-周波数領域における分解能の定義が明確なウエーブレット変換を用いて,地震動の非定常位相特性を抽出した上で,位相の周波数に関する一回微分で定義される群遅延時間をモデル化する.最後にモデル化された群遅延時聞を用いて地震動のシミュレーションを可能にするアルゴリズムを開発する.以上の目的を達成するために平成17年度に得られた成果をまとめると以下の様である. 群遅延時間を表現する確率微分方程式の解を周波数で積分すると位相が求まるので,位相そのものを確率微分方程式で表現する理論を確立した.さらに,ヒルバート変換の概念と位相の確率微分方程式を結びつけることにより,フーリエ振幅を規定する確率微分方程式を誘導した.群遅延時間の不確定性がブラウンノイズで制御されていることの妥当性についてさらに詳細な検証を行った.特に,ポアソンノイズでも確率微分方程式での表現が可能であるので,その適応性について検討を加えた.群遅延時間の周波数特性が確率微分方程式で表現される場合に,応答スペクトル準拠の設計用入力地震動を模擬するための方法論を開発した.地震動の非定常群遅延時間の空間相関特性をモデル化することによって,多点で観測された地震動観測記録を用いて,未観測点での地震動波形推定するための方法論を開発した.地盤が線形弾性体で構成されている場合を対象として,表層地盤の増幅特性が群遅延時間に及ぼす影響を定量的に評価しそのモデル化を行った.
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