Research Abstract |
平成18年度は、平成16年度から実施しているデューン遷移及び複列砂州の網状化現象にかかわる物理実験並びに数値実験を継続すると共に,画像計測をベースとしたデューン上の砂-流体相互作用を含む乱流力の統計的評価を行い,数値モデルの開発に必要な相関定数の算定を行った。この結果、平成16年度から継続的に開発・改良を行ってき小規模や中規模の河床形状変化を追跡する数値計算モデルほぼ完成されることに成功した。 竹林は、混合砂河床における砂州の動態について,数値解析と理論解析により検討を行った。その結果,混合砂河床においては,流れを定常場として扱っても,河床材料の各粒径階の存在率の時間微分項と河床位の時間微分項が存在するため,複数の特性量が異なる伝播速度で伝播することが明らかとなった.また,砂州は発生と消滅を繰り返し,砂州の形状が動的平衡状態に到達しない条件が存在することも明らかとなった. 渡邊は、谷低平地における河道形状および地形が谷幅いっぱいに氾濫する洪水時に形成される中規模河床波の形状に強く支配されていることを水理実験および現地データを用いて明らかにした.また,この地形が単列砂州と複列砂州の相互干渉を受けていることから,平成17年度に開発したモード干渉を考慮した砂州の弱非線形解析を用いて検討を行った結果,この弱非線形解析によっても谷底平地の地形特性を表現できることが可能であることを確認した. 泉は、デューン-平坦床遷移過程では,デューン河床から平坦床へ遷移する臨界フルード数より平坦床からデューン河床へ遷移する臨界フルード数が小さいというヒステリシス現象が発生する.泉は,これを説明するために弱非線形理論が提案しているが,この理論を発展させ,浮遊砂の影響,圧力勾配の影響,流砂の非平衡性の影響,フルード数とシールズ数の間の関数関係を考慮した新たなモデルを提案した.また,線形安定解析を用いた水路群の形成モデルを発展させ,任意形状の斜面に適用できる理論と水路頭部の分岐現象を説明する理論を提案した. 清水は2次元鉛直モデルを用いた河床波の発生・発達に関する数値計算モデルの開発を行い、非定常流量下における、河床波の形状変化および抵抗特性の変化の追跡を行った。この結果、従来経験的に知られている、流量と水位の2価性を再現することに成功し、河川工学上極めて有用な成果を得ることが出来た。
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