2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒ素の生物学的気化能を利用した汚染土壌浄化に関する研究
Project/Area Number |
16360261
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福士 謙介 東京大学, 環境安全研究センター, 助教授 (30282114)
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Keywords | ヒ素 / メチルヒ素 / メタン生成菌 / バングラディシュ / タイ / アルシンガス / 微生物 / ヒ素メチル化酵素 |
Research Abstract |
本研究はバングラデシュやタイなどのヒ素による汚染が深刻な地域のヒ素除去プロセスのオプションとして、土壌、上水汚泥など高濃度にヒ素を含有している固形物から微生物の機能を用いヒ素を除去するプロセスを開発することが本研究の目的である。本研究で着目したのはメタン生成菌などが有している無機ヒ素のメチル化能力である。メタン生成菌が無機ヒ素をメチル化することは1980年代からわかっていたが、それが工学的に浄化プロセスとして応用可能であるほど高効率であるかなどの検討はなされておらず、また、実際の自然環境である混合微生物系でのメチル化の検討などはなされていない。本科学研究費補助金助成研究では主に微生物叢に着目し、その生物学的機能を解明することを目的とする。 1年目の16年度は様々な環境から採取された試料より得られた混合微生物叢の無機ヒ素のメチル化能力を調べた。試料はバングラデシュの汚染地域土壌、牛糞、高温消化汚泥を選択した。試験は試料を嫌気性反応槽で蟻酸と酢酸の存在下で半連続的に培養を行い、気化されたヒ素の速度を測定した。牛糞槽と汚染土壌槽は約35°、高温消化汚泥槽は55°で培養を行った。約100日の培養の結果、ヒ素のメチル化能力は牛糞>汚染土壌であり、高温消化汚泥からはメチルヒ素の確認はごく微量しかされず、アルシンガスの生成が確認された。いずれの場合も生成したメチルヒ素はメモメチルアルシンであった。 平成17年度はヒ素メチル化微生物の詳細な微生物叢解析を行った。具体的には16年度で集積培養した微生物叢と標準メタン生成菌の16S-DNAの領域をDGGE-PCR法によって比較し、その存在を確認した。また、ヒ素生成にかかわる酵素の同定を試み、アフィニティークロマトグラフとイオン交換クロマトグラフによるクロマトフォーカシングにより対象酵素を単離した。現在、その単離酵素のヒ素気化能力を検証中である。
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Research Products
(1 results)