2006 Fiscal Year Annual Research Report
浅水域での底泥・懸濁物輸送が干潟形成と生息生物に及ぼす影響とその評価
Project/Area Number |
16360266
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山西 博幸 佐賀大学, 低平地研究センター, 助教授 (20240062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 宏之 佐賀大学, 低平地研究センター, 教授 (70117315)
日野 剛徳 佐賀大学, 低平地研究センター, 講師 (20295033)
大石 京子 九州大学, 大学院・工学研究院, 助手 (20110835)
徳永 貴久 佐賀大学, 低平地研究センター, 講師 (50404009)
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Keywords | 有明海 / 底泥 / 懸濁物質 / 貧酸素水塊 / 巻き上げ / 沈降フラックス / 選好性 / アゲマキガイ |
Research Abstract |
1.干潟上での物質輸送特性と干潟が果たす役割 1)夏季の水温、塩分、DO、SSの空間分布の変動特性から、小潮の底層部で深水域より流入する貧酸素水塊を確認し、大潮期には鉛直混合が促進され、貧酸素水塊の消滅を明らかにした。 2)各観測塔断面のSS輸送量から干潟上での物質収支を求め、対象区間における巻き上げおよび沈降フラックスを算出した。 3)水中顕微鏡にて実海水中の懸濁物を撮影したところ、最大で100μm〜500μm、平均で30μm程度のフロックで、底層へより大きなフロック径を形成しながら沈降していることを確認した。 4)懸濁物質と栄養塩および有機物との関係を明らかにし、これらの関係とSS沈降フラックスより干潟へのこれら沈降量の概算を可能とした。溶存態成分は、下げ潮時に干潟底泥の巻き上げ以外の陸域等の負荷による影響を示した。 5)底泥の巻き上げによる水中への栄養塩溶出と溶出した栄養塩の懸濁物への再吸着を確認し、干潟上での栄養塩循環過程の一部を明らかにした。 2.干潟堆積環境と底生生物の生息環境の評価 1)アゲマキガイに関する生息因子として、塩分、水温、底質、粒度及び地盤高についての生息実験を行い、それぞれの選好性を評価した。 2)底質及び地盤高等が異なる湾奥部3地点に対して、アゲマキガイの生息地としての可能性について検討した。その結果、現状でアゲマキガイの生息最適地と底質改善によるアゲマキガイの人工漁場造成の妥当性を示した。 3.研究の総括 本研究では、水位昇降型水質測定装置による干潟上の水理・水質変動特性の把握、干潟の堆積物・沈降特性および底泥の巻き上げによる直上水への影響について明らかにした。また、アゲマキガイの室内生息実験を通して、アゲマキガイの最適な生息域の推定および生息環境評価も試みた。以上の成果は、有明海の環境変化のメカニズム、特に干潟環境についての貴重な資料に供するといえる。
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Research Products
(1 results)