発展途上国における非構造部材依存型RC建物の耐震性能向上技術の開発による国際貢献

2004 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 16360270
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 城 攻 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00002014)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 後藤 康明 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90170472) ; 北野 敦則 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (80250471) ; 植松 武是 北海道立北方建築総合研究所, 産技術部, 研究員 ; 杉山 哲也 日鉄コンポジット, 技術部・主任(研究職)
• Keywords: 組積造 / 枠組みRC造 / 耐震性能 / 目地形状 / 水平加力実験 / 有孔煉瓦ブロック / 帳壁試験体

Research Abstract

本年度は、(1)非構造ブロック壁要素の力学的挙動と(2)非構造RC壁内蔵架構の耐震性能について、本研究の初年度としてのパイロット試験体を製作して破壊性状の検討を行った。非構造壁用のブロック素材は、使用されている諸外国毎に材料・形状・強度が異なるので、比較的性状が近似していると思われる国産品による代替品として有孔溝付き煉瓦ブロック(寸法=100×60×210mm^3)を用いた。先ず、ブロック単体試験として、3方向の圧縮強度と目地付き3段積みブロックの重ね厚さ方向の強度を実測し、目地強度の影響が小さいことを確認した。次に、独立ブロック壁要素試験(ブロックを7段×横4列に積み上げた帳壁形状で、上下に加力用のRC梁を有するが側柱は無い)を作製し、目地配置(芋目地と破れ目地の2種)を実験要因として水平繰り返し破壊試験を行った。この結果、芋目地は目地に沿った水平滑り破壊破が生じやすく、破れ目地はおおむね階段状目地に沿うせん断破壊が生じやすいことが分かった。続いて、非構造RC壁内蔵架構としては、1スパン1層のRC柱梁フレーム内に、上記の煉瓦ブロックを13段7列に芋目地状に積んだ壁パネル(縦0.9m×横1.55m、実大構造の約1/3縮小モデル)を作製し、3層建の1階を想定した曲げせん断繰返し水平加力と定軸加力を行った。この結果、ブロック壁パネルのせん断破壊が先行するにもかかわらず水平耐力を維持し、層間変形角1.5%に至った際にRC柱のせん断破壊を伴って激しく耐力低下を示した。また、せん断耐力はブロック体の圧縮強度を用いたRC壁のせん断耐力評価式で推定できることを明らかにした。最後に、数値解析に関しては、目地挙動を模擬できる数値解析法の適否とその構成則について、文献的に検討を行った。