2005 Fiscal Year Annual Research Report
不活性微粒子と化学混和剤の併用による収縮ひび割れ防止法の開発
Project/Area Number |
16360271
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
名和 豊春 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30292056)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出雲 健司 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10312381)
湯浅 昇 日本大学, 生産工学部, 助教授 (00230607)
|
Keywords | 乾燥収縮 / 自己収縮 / 収縮低減剤 / 無機微粉末 / 相対湿度 / 水和反応率 / 力学的性質 |
Research Abstract |
昨年度実施した研究成果から、新規に開発した収縮低減剤および不活性微粉末は自己収縮を著しく低減できるため、材齢28日までは自己収縮と乾燥収縮の総和である収縮ひずみも低減できることを明らかにした。しかし、収縮低減剤と不活性微粉末の組合せでは乾燥収縮はあまり低減しないことも同時に判明した。このような背景に基づき、2年目の本年度では乾燥収縮の低減に効果があると考えられている石膏と新規の収縮低減剤を組合せて収縮ひずみを低減することを試みた。現在までに得られている結果は以下の通りである。 (1)疎水性が多く、かつ加水分解の影響を受けづらい化学構造が異なる収縮低減剤を試作し、その自己・乾燥収縮低減効果について検討を行った。その結果、試作した収縮低減剤は従来の収縮低減剤より少ない添加量で同等の乾燥収縮低減効果を示すことを明らかにした。なお、試作した収縮低減剤は混練直後からセメント粒子に吸着するため、表面張力の低減から自己収縮および乾燥収縮の低減メカニズムを説明するのは難しいことが判明した。 (2)試作した収縮低減剤はセメントの水和反応、特にC_3Sの水和反応を遅延するため、セメントペーストの圧縮強度、特に材齢初期の圧縮強度が低減することが認められた。しかし、その水和反応の遅延効果と強度発現性との間には明確な相関性は見出されなかった。また、モルタルおよびコンクリート供試体においては、セメントペースト供試体で認められたような明確な強度低下は認められなかった。なお、新規に試作した1種類は、材齢7日移行の強度発現が良好で、材齢28日での強度発現は高性能AE減水剤を通常添加したセメントペーストとほぼ同じであった。 (3)二水石膏・半水石膏を2%まで少量添加した場合、モルタルの自己収縮及び乾燥収縮共に低減することが認められた。また、これらの石膏の添加により、モルタルの強度発現も改善することが認められた。しかし、石膏の添加量が2%を超過した場合には、収縮ひずみ量は低減するが、強度は逆に低減した。この原因としては、石膏の添加により、エトリンガイトが生成し、その結晶生成圧によって膨張が引き起こされ、この反応の時期がC_3Sの水和反応とほぼ同じか、若干遅れている場合には、膨張剤と同様に自己・乾燥収縮による収縮ひずみ量を低減し、さらに強度増大したものと推論される。石膏添加量が2%を超えると、エトリンガイトの生成反応はC_3Sの水和が終了した後にも継続しているため、エトリンガイトの膨張により微細構造にひび割れが生じ、収縮ひずみ量は低減するものの強度が低下したものと推論された。 (4)凍結融解作用に対する抵抗性を向上させるために、微細な空気胞を連行することを試みた。その結果、気泡間隔係数が200μm以下のコンクリートを作製することができた。
|
Research Products
(4 results)