2005 Fiscal Year Annual Research Report
公共空間における音声・音響情報伝達手法の最適化に関する研究
Project/Area Number |
16360292
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
森本 政之 神戸大学, 工学部, 教授 (10110800)
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Keywords | 公共空間 / 音声伝達性能 / 聴き取りにくさ / ユニバーサルデザイン / 高齢者 / 単語親密度 |
Research Abstract |
1.公共空間の現場実態調査 神戸市,京都市,名古屋市,仙台市において地下鉄駅構内の環境音を録音した.このうち,京都市,名古屋市,仙台市のプラットホームで録音した音源を詳細に分析した.プラットホームの音源は案内放送と暗騒音に分類できた.プラットホームの暗騒音は電車から発生する音に大きく影響を受ける.電車の音以外の暗騒音については,利用客数と相関が高く,利用客数が2倍になると騒音レベルが約2dBA上昇することを明らかにした.京都市の地下鉄駅構内においてバイノーラルマイクを用いて録音した音源から暗騒音の空間特性を分析した.両耳間相関度の測定結果はどの周波数でも拡散音場の理論値とほぼ一致しており,駅や音源の種類,時間帯による影響は無かった. 2.実験室における聴感実験 音の空間特性が音声の聴き取りにくさに及ぼす影響について検討した.その結果,公共空間の音場の範囲では音の空間特性は影響しないことを明らかにした. 音声の聴き取りにくさを予測する物理指標の検討を行った.実音場で測定されたインパルス応答と定常騒音を用いて公共空間を再現した音場で聴き取りにくさの聴感実験を行い,既存の物理指標が聴き取りにくさと良く対応することを示した.また,暗騒音が聴き取りにくさに及ぼす影響が,既存の物理指標では軽く見積もられていることが明らかになった,そこで,暗騒音の重み付けを最適化したU'値を考案し,既存の物理指標よりも精度良く聴き取りにくさを予測できることを示した.高齢者と若年者の聴き取りにくさの差について検討し,高齢者が若年者と同等の聴き取りにくさを得るためには,U'値で4.2dB程度音場を改善する必要があることを示した. 音声の聴き取りにくさに話速が及ぼす影響について検討した.その結果,ニュース番組のキャスター程度の話速であれば,残響音や騒音があっても聴き取りにくさに大きく影響しないことを示した.
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Research Products
(8 results)