2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16360302
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
平山 洋介 神戸大学, 発達科学部, 教授 (70212173)
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Keywords | 大都市 / 中間層 / 住宅条件 / 住宅政策 / ベビーブーマー / ベビーバスター / キャピタルゲイン / キャピタルロス |
Research Abstract |
大都市中間層における住宅条件の再編実態をみるため、これまでに実施したアンケート調査の結果を分析し、あわせて近年における住宅政策の変容実態に関して考察を行った。アンケートは東京・大阪圏に住む神戸大学出身のベビーブーマー(1940年代後半生まれ)、ベビーバスター(1950年代後半生まれ)を対象としたもので、世代間・地域間比較を分析の視点としている。明らかになったのは、以下の点である。 (1)ベビーブーマーが住まいの「梯子」を着実に登り、住宅所有によるキャピタルゲインを経験したのに比べ、ベビーバスターの多くはバブル期に住宅を購入し、その後に大規模なキャピタルロスを抱え込んだ。世代による住宅条件の差異が大きいことがわかった。 (2)東京圏と大阪圏を比べると、東京圏在住者は、転居回数が多い、単身赴任・海外赴任の経験が多い、社宅などの企業福利厚生のもとで住宅を確保することが多いなど、企業社会のなかでより流動的な住まい方を経験してきた。これに対し、大阪圏在住者は、若い時期には親・親族の家に住む者が多いなど、家族資源を利用して住まいを確保した者が多い。世代による住宅条件の差異に加えて、出身地と在住地の関係を因子とする差異が存在することが明らかになった。 (3)住宅政策は市場重視の方向に向かい、また住宅に関わる企業福祉は削減される傾向にある。このことはベビーブーマーとベビーバスターの「梯子」の差異に現れている。たとえば、ベビーブーマーに比べ、ベビーバスターでは企業からの融資を受けて住宅を購入した者の比率が低い。より若い世代は住宅金融公庫からの融資も期待できない。住宅の市場化は若い世代の「梯子」を大きく変化させると考えられる。
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[Book] 東京の果てに2006
Author(s)
平山洋介
Total Pages
1-298
Publisher
NTT出版
Description
「研究成果報告書概要(和文)」より