2005 Fiscal Year Annual Research Report
大正準モンテカルロを援用した原子尺度での粒界・粒内組織の同時予測手法の開発
Project/Area Number |
16360314
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥田 浩司 京都大学, 国際融合創造センター, 助教授 (50214060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 庄治郎 京都大学, 国際融合創造センター, 教授 (30111925)
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Keywords | PFZ / 物質浴 / 粒界 / GPゾーン |
Research Abstract |
本年度は前年度に見出された新しいPFZ形成機構の候補である、析出駆動力の空間勾配を原因とするPFZの形成過程についての検討をすすめた。従来の溶質枯渇、空孔枯渇のモデルの立場をとる限り説明不可能であった、析出物粒子間距離よりも相当に長い距離を持つPFZが形成される理由が特定される可能性が示唆されたからである。これは実際の材料の熱処理過程において、溶体化処理温度や時間、焼入れ条件を制御することによってPFZ幅を大きく制御する可能性があることを示しているために重要である。一方、昨年度の結果のみでは実際の熱処理過程でサイズ効果などの複数の効果がPFZ組織形成にどのようにかかわるかが不明であった。これらの点の解明を進めるため、2段階時効による粒界近傍の組織変化の特徴と、その粒界物質浴の条件設定との関係を調べた。その結果、復元過程をともなう2段時効処理においては、空孔枯渇過程における2段時効処理とは異なり、明確なPFZ境界形成が促進されることが明らかとなった。また、そのPFZ幅の熱処理時間依存性に関しては、駆動力分布(初期溶質枯渇)を原因とする場合の特徴としてPFZ幅が時間に依存しない時間領域をもつという点が上げられる。これは駆動力空間分布を原因とする自発的なPFZ形成に対して外部要因である粒界物質浴の拡散場が到達するのに必要とされる時間ラグを示している。本年はさらに多元化を目指し3元プロトタイプコーディングをおこなった。現段階では3元コーディングでこれまで用いていた計算効率化手法が使えなくなり、2元モデルとくらべて可能な時間領域が大きく制限されているため、現在その効率化の検討を進めている。
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Research Products
(3 results)