2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16360328
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 功 京都大学, 工学研究科, 教授 (70183861)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 滋人 関西学院大学, 理工学部, 教授 (50192688)
中平 敦 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90172387)
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Keywords | 酸化スズ / 第一原理計算 / 表面 / 分子吸着 / ガスセンサ / 薄膜 / 固溶体 / 準安定相 |
Research Abstract |
酸化スズ(SnO_2)の高感度・高選択性ガスセンサ特性を開拓するため,前年度に引き続き温度と酸素分圧という2つの重要な因子を精確に取り入れた理論計算とパルスレーザー堆積法による薄膜合成を行った. まず,第一原理フォノン計算,クラスター展開法,モンテカルロ法を併用し,酸化物多元系の表面について有限温度・圧力下での構造とエネルギーを理論予測するための手法を開発した.この手法の精度をMgO-ZnO等の酸化物モデル系を用いてテストした結果,相境界の温度および圧力依存性を再現できることがわかった.また,表面については安定な構造および偏析量を温度の関数として定量的に算出できることが示された. 次に,この手法をSnO_2表面上の分子吸着シミュレーションへ応用した.具体的には第一原理PAW計算とそれに基づいたフォノン計算を連携させ,酸素分子や水分子の吸着サイトおよびエネルギーを酸素分圧,水蒸気分圧,温度の関数として算出した.この吸着シミュレーションを前年度に予測した様々な表面構造について系統的に行った結果,吸着エネルギーは表面構造や雰囲気に大きく依存することが判明した.また,この計算結果に基づいて良好なセンサ特性を示す表面構造の設計指針を示した. さらに,SnO_2のp型ドーピングの可能性を探索するため,SnO_2中の様々なドーパントについて系統的な第一原理計算を行い,ドーパントの形成する電子構造を評価した.その結果,サイズミスフィットの大きなドーパントをSn位置に高濃度に置換固溶させることにより,バンドギャップ内に新たな不純物由来のバンドが形成され,これにより伝導性を制御できることが示唆された.また,この計算結果を指針として,パルスレーザー堆積法によるドーパント添加SnO_2薄膜の合成を行った.
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Research Products
(6 results)