2004 Fiscal Year Annual Research Report
原子空孔制御による金属間化合物表面のナノ自己パターンニングと材料機能
Project/Area Number |
16360339
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉見 享祐 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (80230803)
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Keywords | 金属間化合物 / FeAl / NiAl / CoAl / TiCo / 原子空孔 / 水素吸蔵合金 / 自己組織化 |
Research Abstract |
本研究では、(1)FeAl単結晶のある特定の表面方位を利用して過飽和熱空孔の凝集プロセスを詳細に観察し、FeAl表面のナノ自己パターンニング機構を解明する、(2)現在申請中によって検討中のアークドロップ溶解プロセスを使って、過飽和熱空孔が利用可能な金属間化合物の探索を行う、(3)一部の金属間化合物に対して、過飽和熱空孔およびその凝集体と材料機能の関連を明らかにし、ナノ自己パターンニングの金属材料学的意義を確立すること等を目的としている。本年度はまず、Fe-48mol%Al単結晶を作製し、{001}、{011}、{111}各表面方位に対して、ナノ自己パターンニングの方位依存性を調査した。その結果、表面方位に依存して、特徴的なナノパターンが形成されることを明らかにした。そこで定量的解析が容易であった{111}表面について、急冷温度、時効温度、時効時間の各依存性を調査した。その結果、表面ナノパターンのサイズ、密度は急冷温度、時効温度、時効時間によって制御可能であることがわかった。次いで、Twin-Roll法を用いてNiAl、CoAl金属間化合物の急冷凝固薄帯中における過飽和空孔の凝集過程を調査した。その結果、CoAl金属間化合物では、時効処理によって5nm以下の大きさのナノボイド生成が観察された。さらに、Twin-Roll法によってTiCo金属間化合物の急冷凝固薄帯を作製し、過飽和空孔の凝集挙動と水素吸収・放出特性に及ぼす影響について調査した。その結果、TiCo金属間化合物でも多量の過飽和空孔が凍結されていることが明らかとなったが、FeAl、NiAl、CoAl金属間化合物と異なり薄帯内部でのナノ〜メソスケールのボイド形成は観察されなかった。しかし表面では過飽和空孔の凝集によるメソポーラス化が起こり、水素の吸収・放出速度を速めた。
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