Research Abstract |
本年度は,様々なメソポーラス体やマクロポーラス体を調製し,それらの微細構造を制御することにより電気化学デバイスの特性改善を試みた。 1.メソ孔を有するマクロポーラス(mp-)酸化物粉末の調製と半導体ガスセンサへの応用 サブミクロン径のポリメタクリル酸メチル(PMMA)球状微粒子と酸化物原料からなる前駆体溶液を超音波噴霧・熱分解することにより,メソ孔を有するmp-酸化物粉末を調製した。mp-SnO_2の場合,貴金属の高分散担持によりH_2に対して高感度化した。また,Sb_2O_5の固溶によりセンサ抵抗が低下し,作動安定化が達成できた。一方,mp-In_2O_3の場合,NO_2に対して高い応答特性を示すことがわかった。 2.吸着式ガスセンサへのメソポーラスアルミナ(m-Al_2O_3)の応用とセンサ応答解析 吸着燃焼式ガスセンサのガス吸着材料として利用されているγ-Al_2O_3焼結体にかわる吸着・触媒材料として,アルミニウムイソプロポキシドとべヘン酸(メソ孔テンプレート)よりm-Al_2O_3を調製した。その結果,得られたm-Al_2O_3の比表面積は200〜400m^2g^<-1>と大きく,熱安定性も比較的高いことを確認した。さらに,m-Al_2O_3から作製したセンサは,現行のγ-Al_2O_3を用いたものに比べ,アルコールに対するセンサ応答が大幅に向上することを明らかにした。 3.色素感太陽電池に用いる多孔質チタニア電極の細孔構造の最適化 PMMA球状微粒子テンプレートを用いることにより,発達したサブミクロンオーダー細孔を有するmp-TiO_2電極を作製した。この電極を用いて得られた色素増感太陽電池は,同じ膜厚でマクロ孔が存在しない一般的な(c-)TiO_2電極を用いた電池に比べて,セル特性は低下した。そこで,c-TiO_2電極の表面にmp-TiO_2を積層したmp-TiO_2/c-TiO_2電極を作製したところ,同じ膜厚のc-TiO_2電極に比べて高い電極特性を示すことがわかった。これらの結果から,一般的には膜厚増加とともに電極表面の色素吸着率が低下したり電解液中の反応・生成物の拡散性が低下するため電極特性が低下するものの,電極表面を多孔質化することによりそのようなデメリットが軽減され,電極特性が改善されることが示唆された。
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