2005 Fiscal Year Annual Research Report
非平衡反応を利用した高磁界用二硼化マグネシウム超伝導体の開発
Project/Area Number |
16360355
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Research Institution | NATIONAL INSTITUTE FOR MATERIALS SCIENCE |
Principal Investigator |
戸叶 一正 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料研究センター, 特別研究員 (60361169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 和雄 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30143027)
折茂 慎一 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (40284129)
熊倉 浩明 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料研究センター, センター長 (90354307)
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Keywords | MgB2超伝導体 / 臨界電流密度 / メカニカルアロイング / レーザー蒸着法 / 粉末法 / 拡散反応 / YAG |
Research Abstract |
金属間化合物の中で最も高い臨界温度(T_c=39K)をもつMgB_2超伝導体は、磁界特性の改善が実用化の大きな課題である。この解決には臨界磁界H_<c2>を高め、磁束ピン止め力を強化する必要があり、ナノレベルでの組織制御に基づいたプロセスの見直しが必要である。本研究は、メカニカルミリングおよびレーザー蒸着等の非平衡プロセスを適用して、高性能化の基盤確立を目指した。ミリングに関しては前年度のバルク材の経験を基に実際にテープを作製して試験をし、その結果、ミリングは1)原料粉末を微細化する、2)熱処理時の反応性が高められ結晶性が向上する、3)その結果条件によっては磁束ピン止め力がむしろ弱くなること等が判明した。このことから、ミリングの雰囲気やタイミング、H_<c2>を高めるためのSiC添加量、熱処理条件等の適切な選択が重要である知見が得られ、最終的には10T、4.2Kで10^4A/cm^2のJ_cを達成することが出来た。また、レーザー蒸着については、前年度に立ち上げたYAGレーザーによるパルス蒸着(PLD)装置を用いてMgB_2膜の生成実験を行った。YAGは通常のExcimerよりも小型かつ操作が簡単な利点をもつ。その結果、本蒸着法でもMgB_2超伝導薄膜の生成が可能で、また得られた膜が41Tの非常に高いH_<c2>(0)を持つこと等を明らかにした。この高いH_<c2>はCがBサイトに強制的に取り込まれた非平衡状態が実現されたためである。また本研究では、加工性を有するFe-Mg合金とBとの界面拡散反応を利用した全く新たな原理に基づく線材化法を開発し、緻密でMgO不純物を全く含まないMgB_2層の生成に成功した。 高性能化のためにはT_c、H_<c2>、J_cを総合的に高めていく必要があり、結晶性の向上や高密度化とともに、元素置換や結晶粒の超微細化という非平衡状態を実現する必要があるが、本研究ではミリングや蒸着技術の有効性を実証し、さらに拡散法という新たなプロセスを提案することが出来た。
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Research Products
(4 results)