2005 Fiscal Year Annual Research Report
大容量セラミックスコンデンサ用ランタノイド硫化物の開発
Project/Area Number |
16360369
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
平井 伸治 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (10208796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋影 和宜 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70005346)
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Keywords | 希土類硫化物 / 高誘電体材料 / 熱電材料 / 組織制御 / 相変態 / 電気抵抗 / 熱伝導率 / 熱電性能指数 |
Research Abstract |
ランタノイド三二硫化物の熱電特性を研究する上では、6種以上存在する結晶構造の制御が重要な課題となる。しかし、β相の一部の硫黄は酸素と容易に置換し、実際はLa_<10>S_<15-y>O_yの組成で存在する。この不純物酸素の存在は、γ相への相変化を抑制する。そこで、合成粉末中の不純物酸素濃度によらず、βからγ相への相変化を促進する方法を検討し、脱酸効果の強い金属チタンを添加することにより解決できることを見出した。さらに、チタンを添加した場合はβとγの混合相においてもγ単相と同様に優れた熱電特性を示した。 焼結体の熱電特性は、その組織の形状に大きく依存する。結晶粒が小さければ、粒界における電気抵抗が上昇し、一方で熱伝導は低下する。ランタノイド三二硫化物では、ランタノイド元素とS元素の比が変化すると、その熱電特性も大きく変化する。そこで、テルビウム硫化物を用いて、焼結条件、とくに焼結温度が組織と組成の他、熱電特性に与える影響について検討した。その結果、結晶粒径は焼結温度の増加と共に大きくなる傾向が見られた。また、焼結体の化学分析結果から、Tb元素に対するS元素のモル比が焼結温度の増加と共に減少した。さらに、焼結温度が高いほど、すなわち、結晶粒径が大きくかつS元素の割合が少ないほどZT値は増加した。これは、電気抵抗率が大幅に減少したことに起因する。同じような熱電特性の挙動は、ガドリニウムやジスプロジウム硫化物のγ相においても確認された。 この他、結晶構造をより複雑にして、熱伝導率を低下させる方法でも熱電特性の向上が期待される。結晶中のランタノイド元素のサイトを、ランタノイド収縮により予想される別のランタノイド元素で置換することにより、熱伝導率の低下を試みている。既にCS_2ガス硫化法を用いて、いくつかのγ単相の(La_xLn_<1-x>)_2S_3の合成を可能にし、熱電特性の評価を行った。
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