2006 Fiscal Year Annual Research Report
大容量セラミックスコンデンサ用ランタノイド硫化物の開発
Project/Area Number |
16360369
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
平井 伸治 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (10208796)
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Keywords | 希土類硫化物 / 高誘電体材料 / 熱電材料 / 相変態 / ゼーベック係数 / 電気抵抗 / 熱伝導率 / 熱電性能指数 |
Research Abstract |
La_2S_3は低温側からα相(斜方晶)、β相(正方晶)、γ相(立方晶Th_3P_4型)、一方、Gd_2S_3はα相とγ相に相変態する。単相のβ-La_2S_3焼結体をパルス通電により作製し、その比誘電率を測定したところ、500Hz〜1MHzの周波数域において常温で10^6に達する巨大な比誘電率が確認された。この比誘電率には、BaTiO_3のような比誘電率の温度依存性が見られなかった。なお、焼結温度を因子とした検討を行ったところ、高温ほど粒界の粗大化に起因するものと推定される比誘電率およびtanδの増加が確認された。比較的低温の焼結では、数百の比誘電率でtanδが0.07付近まで下がるものも散見された。また、γ-La_2S_3やγGd_2S_3は、高い融点、低い格子熱伝導と縮退半導体的な振る舞いを示し、さらに広い固溶範囲がキャリヤ濃度の最適化を可能にすることから、高温熱電材料としても期待されている。そこで、高温域における性能指数(ZT)の向上を目指すために、金属添加、非化学量論組成、合成粉末の純度から検討した。従来、La_2S_3では不純物酸素がβ相を安定化するため、脱酸を目的に金属Tiの添加によりγ相の安定化がなされ、ZTは1000Kで0.21まで達している。本研究ではTiを2%まで添加したβ相においてもZTが0.21に達することを初めて見出し、この伝導機構がアンダーソン局在に由来するものと考察した。また、β相が存在しないGd_2S_3については、キャリア濃度の最適化を図るためにGdHxを添加したところ、ZTはGdS_<1.50>の0.04からGdS_<1.43>の0.15まで増加することを明確にした。さらに、これまでの希土類酸化物のCS_2ガス硫化法に対し、NH_4SCNの分解ガスによる硫化を初めて試み、La_2S_3とGd_2S_3において不純物酸素の含有量は不変であったものの、不純物炭素の大幅な低減を可能にした。このγ単相のGd_2S_3焼結体では、CS_2ガス硫化法に対して熱電能と電気抵抗が増加し、とくに電気抵抗の増加は焼結体の多孔質化に起因し、この細孔は真空中の加熱処理により次第に消滅することが確認された。
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