2006 Fiscal Year Annual Research Report
鉄鋼製錬反応の高速化とエネルギー消減を目指した石炭-鉱石接合体の構造と組織設計
Project/Area Number |
16360375
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
清水 正賢 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (30325500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西岡 浩樹 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (80294891)
前田 敬之 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (50150496)
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Keywords | 鉄鉱石 / ガス化速度 / 還元速度 / 流動性石炭 / ヘマタイト / マグネタイト |
Research Abstract |
鉱石にはマグネタイト鉱石(以下M)とヘマタイト鉱石(以下H)の2種類を、石炭には流動性(MFD)の高い石炭A(以下A)と非流動性の石炭B(以下B)の2種類を用いた。これらの鉱石と石炭(ともに45μm以下)を配合して4種類の試料を作成した。その際、酸化鉄中の酸素と石炭中の炭素がmol比で1:1になるように配合し、バインダーとして小麦粉(1.5mass%)を添加して成型圧1tで円柱状ブリケット(直径10mm、高さ10mm)に成型した。流動性の影響を把握するため、石炭が流動性を示す500℃、N_2ガス雰囲気中で予備焼成した。その後、900℃から1200℃、N_2ガス雰囲気中の反応炉内に吊るし、熱天秤により重量変化を、赤外分析装置により排出ガスのCO、CO_2濃度を測定した。実験の結果、以下のことが分かった。 鉱石種に着目して比較すると、全ての実験温度で、HとAの組み合わせの方が、MとAの組み合わせよりも反応速度が大きかった。同様に、石炭Bを使用した場合も、HとBの組み合わせの方が、MとBの組み合わせよりも反応速度が大きくなっていた。この理由として、ヘマタイトの還元速度がマグネタイトよりも大きいことが考えられる。次に石炭種について比較すると、全ての実験温度で、HとAの組み合わせの方が、HとBの組み合わせよりも反応速度が大きかった。この特性は、マグネタイト鉱石を用いた場合も同様であり、石炭-鉱石接合体の反応性には石炭の流動性が大きく影響することを示している。 石炭の流動性は、石炭-鉱石接合体の組織および炭材の基質の両面から反応性に影響を与える。そこで、炭材の基質に着目し、粉末処理した石炭A、BについてCO_2ガスとの反応性を調べた。その結果、900℃、1000℃、11OO℃、1200℃ともに、流動性の良い石炭Aと非流動性の石炭Bのガス化速度に明確な違いは見られなかった。これは、炭材の基質よりも石炭-鉱石接合体の組織が反応性に大きく影響することを示唆している。予備焼成後の石炭-鉱石接合体を組織観察した結果、流動性の良い石炭Aを用いた試料は、石炭Bに比べて鉱石と石炭との密着性が著しく良好なことが認められた。 以上の結果より、流動性石炭を用いた石炭-鉱石接合体の反応速度が大きいのは、鉱石と石炭の接合面積(反応界面積)が大きく、反応初期において直接還元が促進されたためであると推察される。
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Research Products
(3 results)