2006 Fiscal Year Annual Research Report
インクジェトプリントにおける薄膜形成機構の解明とその制御
Project/Area Number |
16360387
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Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
深井 潤 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (20189905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高原 淳 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (20163305)
金田 昌之 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (50346855)
中曽 浩一 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (40363379)
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Keywords | インクジェット製膜法 / 高分子溶液滴 / 粘度 / 表面張力 / 蒸発速度 / 濡れ性 / 可視化 / 自然対流 |
Research Abstract |
インクジェット製膜法における高分子薄膜形状の制御を目的として,基板上高分子溶液滴の蒸発過程および薄膜形状を測定した.その結果,以下の知見を得た. 1.液滴の物性値がおよぼす薄膜形状への影響 親液面に滴下した場合,滴下直後から接触線が固定するものや,蒸発時に液膜が分裂するものが観察された.さまざまな実験パラメータを検討した結果,これらの現象の主要因は液滴の粘度,表面張力および基板の濡れ性が接触線の後退と固定に影響を及ぼすためであることを明らかにした. 2.不均質表面基板における薄膜形成 濡れ性の異なるパターン表面に液滴を滴下し,蒸発過程の観察および薄膜形状の測定をおこなった.その結果,液滴の蒸発速度が遅く,かつ粘度が高い場合において,親液面にのみ成膜することが可能となった.また,薄膜断面を一様の厚みにすることができた.これらはディスプレイの画素などをインクジェット法で製作する上で重要な知見である. 3.液滴内部流動の可視化による検討 疎液面上の蒸発過程における流動を可視化し,その際初期溶質濃度がおよぼす影響を調べた.液滴内部では,溶質濃度依存の密度差および表面張力差により,湧き出し流れが生じることが明らかとなった.初期溶質濃度を大きくすると粘度が高くなるが,流動は早くなった.このことは一見矛盾しているが,無次元数を推算し検討したところ,初期溶質濃度の増大とともにレイリー数およびマランゴニ数が大きくなることがわかり上記の流れが促進されることがわかった.
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