2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16360399
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾中 篤 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10144122)
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Keywords | オレフィンメタセシス / 官能基化オレフィン / 不均一系触媒 / メチルトリオキソレニウム / 非極性オレフィン / 環境調和型化学合成 / Lewis酸性 |
Research Abstract |
本研究では、オレフィンメタセシス反応において高活性,生成物高選択性を示す不均一系メタセシス触媒の開発を行なった.新規材料であるメソ多孔体の構造的特徴を活かすことを触媒設計の基本指針とした. 極性官能基を有するオレフィンに対しても高いメタセシス活性を示す触媒系の開発を目指した.特異な反応性を示すことが知られるアルキルレニウム錯体をルイス酸で化学修飾したメソポーラスアルミナに担持することで,従来の不均一系触媒をはるかに凌駕する触媒系を見出すことが出来た.具体的には,Lewis酸によりメソポーラスアルミナ(meso-Al_2O_3)を化学修飾し,細孔表面にLewis酸性を付与することを考案した.化学修飾してもメソポーラスアルミナがメソ多孔性構造を保ち続けられるか,メチルトリオキソレニウム(MTO)を効率よく担持出来るかが課題となる. MTOに高いメタセシス活性を付与する触媒担体の構築を行なった.すなわち,Lewis酸を用いてmeso-Al_2O_3を化学修飾した.得られた新規担体に担持したMTO錯体は高いメタセシス活性を示した.その活性化能はLewis酸による修飾率に大きく影響され,MTOの示す高いメタセシス触媒活性がmeso-Al_2O_3表面に導入されたLewis酸性に大きく支配されることを見出した.見出した触媒はエステル,ケトン,ハロゲンなどによって極性官能基化されたオレフィンに対して,高いメタセシス触媒活性を示した,非極性オレフィンに対しても,既存の不均一系メタセシス触媒Re_2O_7/Al_2O_3を凌ぐ高いメタセシス触媒活性を示した.又,既に報告されているSiO_2-Al_2O_3表面にMTOを固定化したHerrmann触媒に認められた末端オレフィンの異性化も起こさず,選択的にメタセシス反応のみを加速する. Lewis酸性を帯びた担体による金属錯体の活性化という手法は,これまでにほとんど知られていない新しい触媒系の創出を提供するものであり,環境調和型の化学合成を一段と進歩させるものである.
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