Research Abstract |
水素/酸素燃料電池反応を利用した隔膜反応法による過酸化水素の一段合成法を開発するために,本反応法を支配する様々な因子を解明し,理論立て,最終的に高活性化することを目標している。本反応法はカソード,アノード,2枚のガス拡散電極を隔膜としても機能させ,この電極間に電解質溶液を満たす特異的な構造を有している。電解質液側と反対の電極面は,酸素ガス(カソード),水素ガス(アノード)に露出しており,高分圧の酸素ガス,水素ガスが高濃度のまま直接反応サイトに供給できることが特徴である。 電解質に1-2規定の水酸化ナトリウム水溶液,[VGCF(気相成長カーボンファイバー)+XC-72(バルカンカーボンブラック)]ガス拡散電極(カソード),白金/炭素ガス拡散電極(アノード)を用い,それぞれ1気圧の酸素,水素ガスを導入することにより,電極間を短絡するだけで電流効率95%(水素基準選択率)で選択的かつ連続的に7重量%の過酸化水素水溶液を合成出来る。この反応系について,全反応を律している要因を明らかにするために,インピーダンスアナライザーを用いて反応周波数の解析を行った。解析の結果,過酸化水素生成反応はカソード反応により律せられ,酸素ガスの供給速度で過酸化水素生成速度が決定されていることが明らかとなった。また,燃料電池反応モードから電圧を印加し,過酸化水素生成速度を加速するような反応条件モードでは,電解質のイオン伝導が律速段階になっていることが明らかとなった。これらの結果より,両電極間を狭め電解質液の電気抵抗を十分に低下させ,カソードの三相界面の実行面積を増加させることにより酸素の供給を速やかに加速すれば,酸素の還元速度が増加し,過酸化水素生成速度が向上するものと考えられ,この作業仮説に従って次年度の研究を推進する。
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