横揺れ制御機能を組み込んだ漁労作業用係留装置の開発に関する研究

2005 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 16360430
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 木村 暢夫 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (50186326)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 芳村 康男 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (50322847) ; 岩森 利弘 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助手 (90241380) ; 和田 雅昭 公立はこだて未来大学, 共同利用センター, 講師 (00404806)
• Keywords: 漁船 / 係留 / 横揺れ運動 / 制御

Research Abstract

計画初年度低反発ウレタンを緩衝材として漁労作業用係留装置を作成し実施した模型実験から、ホタテ貝養殖専用漁船が大規模養殖施設に係留することによって長周期波(無時限周波数√B/λ≦0.3、B:船幅、λ:波長)に対する横揺れ応答関数φ/Kζ_a(φ:横揺れ振幅、K:波数、ζ_a:波振幅)が増大し、また大傾斜を引き起こす海況の波周期は長周期帯に分布するという特徴が明らかになり、長周期帯域での船体横揺れ運動軽減を主眼に係留装置の開発を行った。係留装置の緩衝材として、多孔オリフェス式の油圧式緩衝材を用いることで、衝撃を吸収し熱エネルギーに変換させる形で、低周期帯という幅広い領域に於いて横揺れ運動に対する軽減効果が期待され、当初予定していたPID制御系からなる張力制御を組み込まなくても横揺れ動揺軽減効果を備えた漁労作業用係留装置として機能することが判明した。
北海道大学大学院水産科学研究院大型水理実験水槽に於いて、一般的なホタテ貝養殖専用漁船の1/11スケールモデルを用いて規則波中横揺れ実験を行い油圧式緩衝材による係留装置の有効性を検証した。実験に用いたホタテ貝養殖施設モデルは係留時の漁船の定常横傾斜と横揺れ周期をあわせることで、養殖施設から船体へかかる上下方向の張力と流体力を近似させた。
引き続き、同じ機構の漁労作業用係留装置を試作した。係留装置は養殖漁船船首尾にそれぞれ設置しホタテ貝の出荷期には約1トンの鉛直軸方向の荷重が係るため、軽量小型化しつつ十分な強度の確保を行った。実船実験は、本計画最終年度に実施し、係留した際の動揺軽減効果と強度、および実際の漁労作業に使用する際の問題点等の改善を行う。