2005 Fiscal Year Annual Research Report
多数箇所から発生進展する微小表面き裂のアスペクト比変化に関する研究
Project/Area Number |
16360440
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
豊貞 雅宏 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (30188817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 孝男 九州大学, 工学研究院, 教授 (50380572)
後藤 浩二 九州大学, 工学研究院, 助教授 (60274487)
堤 成一郎 九州大学, 工学研究院, 助手 (70344702)
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Keywords | 疲労 / 表面き裂 / アスペクト比変化 / 船殻構造 / 材料軟化現象 / 下負荷面モデル / ビーチマーク |
Research Abstract |
大型溶接構造物中で成長する疲労き裂は,一般に応力集中場の多数点から表面き裂状で発生し,合体を繰り返して成長するという実に複雑な成長過程をたどるため,この成長を直接数値シミュレーションで推定することは極めて困難である。研究代表者らは,表面き裂の成長形状の指標としてだ円型き裂の場合にそのアスペクト比(短軸長/長軸長)に着目し,これと応力分布を関連づけることで,角回し溶接部止端から発生する疲労表面き裂のアスペクト比変化推定式を与えているが,疲労表面き裂は種々の形状・応力場を有する溶接止端から発生するため,上述の手法の拡張が必要である。そこで今年度は以下の検討を実施した。 幅方向に応力勾配を有する疲労表面き裂の成長挙動が観察可能な試験体の形状を検討するために,船殻構造においてこのタイプの疲労損傷が確認された事例を調査した結果,船体二重底構造のバルクヘッド基部近傍で疲労損傷が比較的多く発生していることを確認した。この成果を踏まえて,船体二重底構造のバルクヘッド基部近傍の形状を模擬した試験体の設計・製作を行った。次にこの構造要素試験体を用いた疲労試験を実施し,インク浸透法とビーチマーク法を併用して成長中の表面き裂形状(アスペクト比)の計測を行った。 計測結果及び,昨年度までの研究により得られている疲労表面き裂のアスペクト比変化に関する知見を勘案してアスペクト比変化推定式の導出を試みたが,計測試験体数が少なかった影響もあり,陽な形での推定式の導出には至らなかった。しかしながら,表(データベース)形式でアスペクト比変化を推定できるように実験結果の整理を行った。 一方,き裂発生領域の材料軟化現象が疲労き裂発生挙動に及ぼす影響については,弾塑性構成関係として下負荷面モデルの考え方を導入した弾塑性FEM解析により検討し,最大公称応力が降伏点以下(比例限以上)の荷重範囲で繰り返し載荷を受ける場合であっても,非弾性ひずみの蓄積が進展する現象を数値的に再現することを可能とした。なお,下負荷面モデルを規定するための材料定数の取得が十分ではないため,上記現象の表現は定性的なものに留まっている。
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