2006 Fiscal Year Annual Research Report
船体強度設計における実用的な設計荷重設定法に関する研究
Project/Area Number |
16360443
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
深澤 塔一 金沢工業大学, 工学部, 教授 (80143171)
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Keywords | 船体構造設計 / 直接強度解析 / 設計不規則波 / 設計短期海象 / コンテナ船 |
Research Abstract |
船体構造設計において、現実の波浪中での荷重の非線形性と同時性を考慮し、かつ構造解析工数の低減を図るため、研究代表者は、これまでに、規則波ベースの設計波ではなく、不規則波を用いた設計波「設計不規則波」を提案した。この方法は、想定される短期海象中において、ある強度に対して最大荷重を与えるような波の連なりを意図的に生成するもので、船体縦曲げにおける最終強度解析に適用した結果が示されている。本研究では、この「設計不規則波」を「直接荷重解析法(DILAM)」という荷重の時系列を入力する全船構造解析法と統合し、大型コンテナ船の局部応力の最大値を推定する手法について検討を行い、得られた最大応力を基に設計短期海象について考察した。得られた結論は以下の通りである。 ・最大応力値は、有義波高がある程度高い短期海象では有義波高によって大きく変動せず、波浪頻度表に現れるどのような海象においても設計上妥当な値が得られた。 ・最大応力を発生させる短期海象の平均波周期は、縦曲げモーメントやねじりモーメントの短期パラメータを最大とする波周期よりもより長周期となる。 ・本コンテナ船の最大応力発生に重要となる船と波との出合角は、垂直曲げモーメントが有意となる180deg(正面波)とねじりモーメントが有意となる60degであった。 ・平均波周期T=12s(垂直曲げモーメントの短期パラメータを最大とする波周期)、有義波高H=12.25m(砕波発生の限界波高)とした海象中で推定された船長方向最大応力値は、すべての海象を考慮した最大応力値の90%程度となった。 ・直接荷重解析法設計不規則波の生成には、対象とする局部応力の応答関数ではなく、荷重の応答関数の位相情報を援用し、計算工数を大幅に減らすことができる。ただし、推定精度を上げるためには、適切な応答関数の情報を用いる必要がある。 ・DILAMを用いた全船FEM解析においては非線形応答計算も可能であるため、将来的には荷重/応答の厳密な非線形を考慮した設計短期海象の検討も可能である。
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