2005 Fiscal Year Annual Research Report
沈船による油汚染リスク削減を目指した高圧下の深海における油の微生物分解挙動解析
Project/Area Number |
16360444
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Research Institution | National Maritime Research Institute |
Principal Investigator |
柴田 清 独立行政法人海上技術安全研究所, エネルギー・環境評価部門, グループ長 (20281991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原 正一 独立行政法人海上技術安全研究所, 海洋部門, 部門長 (60399524)
渡辺 一哉 (株)海洋バイオテクノロジー研究所, 微生物利用領域, 領域長 (40393467)
笠井 由紀 (株)海洋バイオテクノロジー研究所, 微生物利用領域, 研究員 (20416572)
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Keywords | 海洋汚染 / 油流出 / 船舶 / 生物分解 / 微生物 / 遺伝子解析 / 深海 / 重油 |
Research Abstract |
1.深海環境下での油分解実験 相模湾あるいは東京湾で採取した天然海水に、被分解模擬油としてn-ヘキサデカンあるいはn-デカン、および栄養源としてリン酸とアンモニウム塩を加え、深海を模擬した20MPa、5℃あるいは25℃の好気条件で、10日から40日間緩やかに攪拌して分解の進行を調査した。また比較対照のために高圧下で模擬油無添加、および常圧下でも圧力以外同じ条件で実験を行った。所定日数経過後、模擬油と海水の試料に内部標準物質としてn-デカンあるいはn-ヘキサデカンを一定量加え、n-ヘキサンで油分を抽出後、その被分解模擬油と内部標準物質の濃度比をGC/MSで測定し、実験初期条件の場合と比較することにより被分解物質の分解率を求めた。その結果、初期の海水条件に起因すると思われるばらつきはあるものの、高圧下でも約10日間で50%以上の分解率が観測されることがあった。 2.微生物コンソーシア解析 油分解実験前後の海水中の微生物コンソーシアの変化をPCR-DGGE法(変性ゲル電気泳動法)によって観察した。その結果、各々の実験条件毎に得られるバンド分布に顕著な変化が観察され、それぞれ個別の微生物コンソーシアが発達したと認められる。しかし、分解率と同様に形成される微生物コンソーシアに統一した傾向を見いだしにくく、油分の分解に寄与した微生物を特定するには至っていない。 3.沈船情報の収集 過去約100年の問に座礁や沈没した総トン数100トン以上の船舶を対象に、遭難日時、遭難原因、遭難地点、遭難時搭載物、遭難時の船体損傷、遭難時死傷者数、沈没地点水深、船舶名、船種、総トン数、寸法、主機械、馬力、速力、搭載燃料、満載貨物量、起工・進水・竣工年月日、船主又は所属、建造所、遭難後対処措置の調査を行い、1206件についてデータベースとして整理した。
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