2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射性廃棄物地層処分における粘土緩衝材の潜在的バリア性能に関する研究
Project/Area Number |
16360465
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小崎 完 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (60234746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正知 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (40117122)
香西 直文 日本原子力研究開発機構, 環境放射線工学ユニット, 研究副主幹 (80354877)
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Keywords | 放射性廃棄物 / 地層処分 / ベントナイト / 鉄腐食生成物 / 拡散 |
Research Abstract |
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、処分後、粘土(Na型ベントナイト)緩衝材中の炭素鋼製容器(オーバーパック)が徐々に腐食し、そこから溶出したFe^<2+>イオンがベントナイトの主たる構成鉱物であるモンモリロナイトをNa型からFe型に変質させる可能性がある。このようなFe型への変質反応は、膨潤能などの緩衝材性能を劣化させると懸念される一方で、Fe型化したモンモリロナイトあるいは鉄腐食生成物が特定の放射性核種を固定化して、移行を遅延させる性能向上の効果も期待される。そこで、本研究では、粘土中の鉄の腐食および鉄腐食生成物の化学的挙動の解明を目的として、Fe型化したベントナイトの調製およびその特性評価に関連した研究を行った。 研究2年目の平成17年度は、FeCl_2溶液を用いたイオン交換法で調製したFe型モンモリロナイトのμ-PlXE分析を行い、調製した試料中にCI^-イオンが残存することを確認した。このため、FeCl_2溶液を用いない調製方法として、L-アスコルビン酸を添加したニトリロ三酢酸の鉄(II)錯体(Fe^<2+>-NTA)溶液を用いる方法を考案した。この方法は、大気中で容易に酸化するFe^<2+>イオンを、準安定なキレート錯体にしてモンモリロナイトと接触させるものであり、幅広いpH領域で鉄の析出・沈殿を避けてイオン交換反応を進めることができる。また、イオン交換後のキレート剤をイオン交換水で容易に洗い出すことが出来、その際のモンモリロナイト中のFe^<2+>イオンの酸化を最小にすることができ、さらに雰囲気制御グローブボックスのような装置が不要となる利点がある。調製した試料の特性評価の結果、この方法で得られた試料の交換性陽イオンの大部分はFe^<2+>に置換されており、モンモリロナイトのシート構造にも変化がないことが確認された。
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Research Products
(1 results)