2004 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導転移を利用した高エネルギー分解能マイクロカロリメータの開発
Project/Area Number |
16360468
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中沢 正治 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00010976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 浩之 東京大学, 人工物工学研究センター, 助教授 (70216753)
雨宮 邦招 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60361531)
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Keywords | スペクトロスコピー / 超伝導体 / 量子計測 / 位置敏感型放射線検出器 / X線 / γ線 / 蛍光X線分析 |
Research Abstract |
従来、X線やガンマ線の測定に用いられてきた半導体検出器は、実用に十分な効率・エネルギー分解能・計数率特性を有するために広く使われてきたが、エネルギー分解能が電荷キャリア数のゆらぎにより制限を受けるという問題があった。極低温においては、物質の熱容量は極めて小さくなるので、個々のX線・γ線入射により十分大きな温度上昇が生じ、この温度上昇を高感度の温度計で測定すれば、入射粒子のエネルギーを精度よく測定できるマイクロカロリメータが実現できる。本研究では、Ir超伝導体を超伝導転移端温度内に保持し、吸収体の温度上昇を、超伝導体の急峻な抵抗変化から求めることで、高感度な超伝導転移端温度計(Transition Edge Sensor : TES)の開発を行うものである。平成16年度は、個々のピクセルの熱容量が小さく、高いエネルギー分解能が期待できる、ピクセル型の素子構造について検討を進めると共に、手持ちのイオンエッチング装置を改造したスパッタ装置を導入し、その立ち上げを行った。また、Ir/Au超伝導体を用いた、それぞれ熱容量の異なる10個のピクセルを有するTES素子を製作し、その動作を確認した。一方、本TES素子の信号を解析したところ、飽和状態には到達していないことが分かった。また、Ir超伝導体を用いた50um x 50umの小型ピクセルを20個有する検出器の製作を行い、その動作を確認した。一方、本検出器の特性を詳細に求めるための放射光実験を計画したが、測定中に素子が破断するなどの問題が生じたため、位置応答の詳細については求めていないものの、信号の立ち上がり時間、立下り時間のばらつきが見られており、入射位置依存性があるものと考えられる。
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Research Products
(3 results)