2004 Fiscal Year Annual Research Report
長期モニタリングと固体群統計遺伝学による植物個体群の存続可能性の評価と保全
Project/Area Number |
16370007
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大原 雅 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (90194274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 岳 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (30221930)
和田 直也 富山大学, 理学部, 助教授 (40272893)
高田 壮則 北海道東海大学, 国際文化学部, 教授 (80206755)
亀山 慶晃 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 長期モニタリング / 個体群 / 統計遺伝学 / 多年生植物 / 存続可能性 / 保全 |
Research Abstract |
初年度に当たる平成16年度は、まず、各研究者がこれまで行ってきている低地性ならびに高山性の草本植物に関して、長期モニタリングの継続調査を行った。そして、モニタリングデーターをもとに繁殖率、死亡率、種子繁殖依存率、栄養繁殖依存率をパラメーターに持つ個体群の絶滅確率推定のための数理モデルを作成・検討を行った。また、大雪山系ならびに立山連峰では絶滅が危惧されている植物群に関して、個体群構造ならびに繁殖特性に関する新たな調査を開始した。具体的に得られた結果は以下の通りである。 1.種子繁殖により集団を維持しているキク科草本ミミコウモリの2倍体と4倍体集団、主にムカゴによる無性繁殖で集団を維持している変種コモチミミコウモリ4倍体集団で、個体群構造、遺伝的多様性、空間遺伝構造を比較した。4倍体ミミコウモリは結実率が高く自殖種子生産の可能性が示唆された.4倍体ミミコウモリとコモチミミコウモリは、倍数性遺伝により個体内、集団内に高い遺伝的多様性が見られた。一方で、集団間の遺伝的分化は倍数性、繁殖様式に依らず差が見られなかった。空間遺伝構造の形成には、倍数性や繁殖様式に加えて、自殖率、近交弱勢、散布様式、生育地の安定性が関係していることが分かった。 2.氷河期遺存種・チョウノスケソウについて,本種の世界的分布南限に相当する日本の立山と中国の長白山における個体群を対象に,酵素多型を用いた集団内の遺伝的多様性について調査した。8酵素12遺伝子座について調べたところ,立山では2遺伝子座にのみ変異が見られたのに対し,長白山では7遺伝子座に変異が見られた。富山県絶滅危惧種・ヒメザゼンソウについて,孤立個体群のサイズ構造と光合成特性を調査した。その結果、酵素多型を用いた遺伝解析が本種にも適用できることが分かった。
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Research Products
(1 results)