2006 Fiscal Year Annual Research Report
長期モニタリングと個体群統計遺伝学による植物個体群の存続可能性の評価と保全
Project/Area Number |
16370007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大原 雅 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 教授 (90194274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 岳 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 助教授 (30221930)
和田 直也 富山大学, 理学部, 助教授 (40272893)
高田 壮則 北海道大学, 大学院地球環境科学研究院, 教授 (80206755)
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Keywords | 長期モニタリング / 個体群 / 統計遺伝学 / 多年生植物 / 存続可能性 / 保全 |
Research Abstract |
最終年度に当たる平成18年度は、各植物種の繁殖特性および個体群の遺伝的構造に関するデータを集約し、解析を行った。具体的に得られた成果の概要は以下の通りである。 1.オオバナノエンレイソウ:オオバナノエンレイソウは種子繁殖を行う多回繁殖型の多年生草本である。帯広市近郊の孤立林林床に調査プロット(16m×2m)を設定し、このプロットをさらに2cmメッシュに区切り、格子点上に存在する個体の位置をすべて記録した。さらに格子点上の個体の葉組織をサンプリングし酵素多型を用いそれぞれの遺伝子型を特定した。オオバナノエンレイソウは外部形態から実生・1葉・3葉・開花個体という4つの生育段階を識別することが可能なため、生育段階別に解析し、時間軸に沿った遺伝的時空間構造を明らかにすることができた。 2.スズラン:スズランは、種子繁殖とともにクローン成長による繁殖を行うクローナル植物である。生育面積の異なる10集団を対象に、各集団を5m×5mのサブ・プロットに区分し、各区画の地上葉及び花序密度を測定し、格子点上の葉を酵素多型分析した。また集団の平均結果・結実率を算出したところ、森林面積の縮小に伴い結果・結実率は減少傾向を示した。また、酵素多型分析の結果、集団内には複数の遺伝子型が特定され、またラメットとジェネットの双方による遺伝的構造が認められた。 3.オオウバユリ:オオウバユリは、林床性の一回繁殖型多年生草本で、種子による有性繁殖と娘鱗茎の形成による栄養繁殖の2通りの繁殖を行う。札幌市近郊のさまざまな環境条件下で生育する12集団を対象に、ステージクラス構造に基づく個体群構造ならびに酵素多型に基づく遺伝的多様性の比較を行った。その結果、野幌森林公園のように自然度の高い集団では遺伝的多様性は高かったが、北大構内、屯田防風林など、分断化された集団では多様性が低下していることが明らかになった。
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Research Products
(6 results)