2005 Fiscal Year Annual Research Report
海洋表層の密度躍層を中心としたマリンスノーの動態と生物代謝との相互作用の解明
Project/Area Number |
16370010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50260518)
原 成光 宮崎国際大学, 比較文化学部, 教授 (50261243)
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Keywords | 密度躍層 / マリンスノー / 懸濁有機物 / 植物プランクトン / 沈降粒子 |
Research Abstract |
本研究では新たに開発したマリンスノーカメラと海洋環境計測装置を結合させ、鉛直的に1-2mの解像度で外洋域の表層での大型懸濁粒子(マリンスノー)の動態を海洋の物理構造とリンクさせて現場で解析することを目的としている。17年度は白鳳丸のKH-05-2航海に乗船して南緯10度から北緯54度まで西経160度線上を5度間隔でマリンスノーカメラでの観察を行った。海域的には熱帯湧昇域、亜熱帯貧栄養ジャイア海域、亜寒帯富栄養海域を網羅している。また、本航海ではマリンスノーのソースとなり得る表層の懸濁粒子のサンプリングも同時に行って、その窒素、炭素含量や安定同位対比など生化学的特性の検討も行った。これまでに得られている成果は以下の点である。 1.南北断面における表層懸濁粒子の炭素量は2-15マイクロモルの範囲であり、クロロフィル量とほぼ同様の変動傾向を示したが、C/N比は北緯15-20度の間で9以上の窒素欠乏値を示し、これは窒素の同位体値で窒素固定の寄与の可能性を示している2-10ミクロンサイズに特出した植物プランクトンと良く対応した。 2.窒素の同位体比から亜熱帯域で広範な窒素固定の寄与の可能性が示唆されたが、亜寒帯の北緯45度でもゼロに近い値が得られた。これは深い方からの窒素栄養塩のソースの問題か窒素固定の寄与か検討が必要である。また、炭素の同位体では北緯30度付近が最も分別を受けていることが分かった。 クロロフィル量の表層0-200mまでの積算値は南北断面で約2-3倍の変動幅であるが、0.5mm以上の大型懸濁粒子の0-200mまでの積算値の変動幅は50倍以上となり、亜寒帯域の方がより大型粒子になりやすいプロセスを働いていることを示唆している。
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