2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16370013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
粕谷 英一 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (00161050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮竹 貴久 岡山大学, 農学部, 助教授 (80332790)
安井 行雄 香川大学, 農学部, 助教授 (30325328)
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Keywords | 複数回交尾 / メスの複数回交尾 / 多回交尾 / 直接的利益 / 精子競争 / 間接的利益 / sexual conflict |
Research Abstract |
アズキゾウムシ(Callosobruchus chinensis)のメスでは、集団間に交尾回数の変異が存在する。従来、メスの複数回交尾はメスにとっての利益の観点から研究されることが多かったが、アズキゾウムシで複数回交尾する集団を用いて検討したところ、再交尾がメスの適応度に関してマイナスの効果をもたらすことが明らかになった。また、メスの再交尾頻度は、産卵(産卵させたときにはメスの再交尾頻度が高い)、日周サイクルなどの要因の影響を受けることがわかった。産卵に伴う再交尾頻度の上昇の程度は,集団間で大きく異なっていた。メスの再交尾頻度と関係のある要因を複数の集団で調べたところ,射精量と再交尾頻度の間に正の相関があった。また、オスの交尾器には、非交尾時には折り畳まれた内側にあるが、交尾時においては反転して露出する骨片があり、骨片には逆向きのとげ状の構造が発見された。骨片の形態を再交尾頻度が大きく異なる2集団で比較したところ差が見られた。これらの発見は、再交尾頻度決定におけるオス側の要因の重要性とメスの交尾回数が精子競争を介してオスに影響することを示唆している。さらに、オス側の要因の重要性は、幼虫期に複数個体で飼育されたオスは、単独で飼育されたオスに比べて,多くの精子をメスに射精したという結果によっても補強された。複数回交尾しやすいメスとしにくいメスが集団内に存在することが複数回交尾の適応度への効果の解析に大きな影響を与えることはアズキゾウムシですでに明らかにしたが、その内容を他の昆虫の解析にも適用した。
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