2004 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞不定胚形成を指標とする高等植物における分化全能性発現機構に関する研究
Project/Area Number |
16370017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鎌田 博 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (00169608)
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Keywords | 体細胞不定胚形成 / 分化全能性 / 不定胚誘導時特異的遺伝子群 / 胚特異的転写制御因子 / ストレス不定胚誘導 / 不定胚形成不全 / マイクロアレー / クロマチンリモデリング |
Research Abstract |
ニンジンにおいて、オーキシン処理およびストレス処理による不定胚誘導時(分化全能性発現時)の極く初期から発現する胚特異的転写制御因子であるC-ABI3遺伝子の転写調節機構を解明するため、C-ABI3遺伝子プロモーターシス配列(CEE1)に結合する因子(CEE1-BF)を単離し、その詳細な発現解析を行った。その結果、CEE1-BFの多くは種子胚および不定胚においても発現することが明らかとなった。また、CEE1-BF3遺伝子について、DEX誘導型プロモーターに連結し、条件的発現を促したところ、CEE1による発現誘導が観察されたことから、CEE1-BF3が確かにCEE1に働きかけて胚特異的発現誘導を引き起こす転写制御因子であることが明らかとなった。また、シロイヌズナのABI3遺伝子について、そのプロモーターシス配列を決定することができ、胚特異的転写を促す共通のシス配列を同定した。一方、シロイヌナズナのマイクロアレーを用いた解析および蛍光ディファレンシャルディスプレー法による解析により、不定胚形成能誘導時に発現する多数の遺伝子を同定することができた。このような遺伝子の中に、クロマチンリモデリングに関与することが予想される遺伝子が含まれていたことから、クロマチンリモデリングに着目した解析を進めた。その結果、Dc-SET1遺伝子の発現抑制を行ったところ、不定胚形成が見られなくなり、また、ヒストン脱アセチル化阻害剤で処理したところ、ニンジン不定胚形成が強く阻害された。さらに、シロイヌナズナの種子発芽時にヒストン脱アセチル化阻害剤で処理したところ、LEC1遺伝子の発現維持に伴い、種子発芽が強く阻害され、この発芽阻害された実生を阻害剤無添加培地に移植したところ、子葉上に不定胚が形成された。現在、このようなクロマチンリモデリングに関係するさまざま処理時における胚発生関連遺伝子の発現を詳細に解析している。
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