2006 Fiscal Year Annual Research Report
体細胞不定胚形成を指標とする高等植物における分化全能性発現機構に関する研究
Project/Area Number |
16370017
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鎌田 博 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 教授 (00169608)
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Keywords | 体細胞不定胚形成 / 分化全能性 / 不定胚誘導時特異的遺伝子群 / 胚特異的転写制御因子 / ストレス不定胚誘導 / 不定胚形成不全 / クロマチンリモデリング / 胚発生プログラム |
Research Abstract |
ニンジンおよびシロイヌナズナを用いた昨年までの研究で、不定胚形成能発現(体細胞が実際に不定胚としての胚発生プログラムを始動させること)の際にはクロマチンリモデリング因子が重要な働きをすることが明らかとなり、本年度は多数のクロマチンリモデリング因子候補のうちのいずれが不定胚形成能発現に関与しているかを詳細に検討した。その検証に当たっては、種子発芽後に栄養成長への転換不全を引き起こし、発芽した幼植物個体上に不定胚形成を引き起こすシロイヌナズナ変異体を探索することとした。その結果、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)遺伝子群のうちHDA6とHDA19が最も重要な因子であり、両遺伝子の2重機能抑制変異(HDA6:RNAi HDA19:RNAi)により、発芽した実生の子葉および根から自然発生的に不定胚が形成され、胚発生から栄養成長相への転換阻害、すなわち、胚が持つ分化全能性の消去が行われないことが明らかとなった。また、このような機能欠損表現型がさらに強調される因子の探索から、PIKLEがHDA6やHDA19とともに複合体を構成して機能することが明らかとなった。一方、ヒストンのメチル化修飾に関与すると考えられる32種類のSET遺伝子のうち、SWINGER(SWN)とCURLY LEAF(CLF)が不定胚形成に重要であり、両者の2重機能欠損変異(swn clf)により、上述のHDAC機能抑制とほぼ同様の表現型(実生の子葉および根における不定胚形成)が見られることが明らかとなった。さらに、HDA6:RNAi HDA19:RNAiおよびswn clfを用いたクロマチン免疫沈降実験により、これらクロマチンリモデリング因子の直接の標的遺伝子はLEC1ではなく、FUS3である可能性あるいはLEC1やFUS3を制御するさらに上流の遺伝子である可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)