2006 Fiscal Year Annual Research Report
花粉表層構造の形成と稔性獲得に関する分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
16370020
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石黒 澄衞 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (50260039)
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Keywords | シロイヌナズナ / 花粉 / エキシン / 突然変異体 / SHEPHERD / 雄性不稔 / ヌクレオリン / KAONASHI |
Research Abstract |
1.エキシン構造の形成に関与するシロイヌナズナ突然変異体の単離 突然変異処理を行ったシロイヌナズナから花粉を集め、走査型電子顕微鏡でその表層構造を観察することにより、エキシンの構造に異常を示す突然変異体(たとえば、エキシンがほとんど欠失するもの、バキュラやテクタムの構造が不完全になるもの、構造は正常だがエキシンの網目模様が細かくなるものなど)を多数単離した。これらの突然変異体をkaonashi(kns)と名付け、まずkns1について原因遺伝子の単離を目的としたマッピングを開始した。 2.SHEPHERD(SHD)遺伝子のエキシン形成における役割の解析 shd突然変異体が形成する花粉では、バキュラが低くドーム状に広がり、テクタムが失われている。P(FBP1):SHDをshdに導入して調べたところ、花粉の表現型を完全に相補され、花粉四分子形成期に葯のタペート細胞でSHDが発現することが正常なエキシン構造の形成に必要であることがわかった。この時期、小胞子自身とタペート細胞の両方から供給されるプライムエキシンがエキシンの構造の骨組みを形成すると考えられているが、電子顕微鏡観察の結果からは、shdの花粉では特にタペート細胞からのプライムエキシンの供給が阻害されていると推定された。っまり、SHDはタペート細胞がプライムエキシンの原料を生合成し、葯室内に放出し、花粉表面に送り込む過程で働いていることがわかった。 3.花粉形成におけるヌクレオリンAtNuc-L1、AtNuc-L2の機能の解析 ヌクレオリンは核小体に蓄積するタンパク質で、リボソームRNAの成熟化を始め、さまざまな現象に関与する。AtNuc-L1とAtNuc-L2を両方とも欠損した花粉では、稔性が著しく低下することがわかった。
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Research Products
(1 results)