2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16370034
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉村 建二郎 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (10230806)
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Keywords | クラミドモナス / イオンチャネル / 鞭毛運動 / 機械受容 / 機械受容チャネル |
Research Abstract |
鞭毛と繊毛は真核生物の多くの器官で運動装置やセンサーとして働いている。鞭毛や繊毛の運動は状況に応じて変化し、その器官にとって必要な機能を果たしている。鞭毛・繊毛の運動の制御はその細胞膜にあるイオンチャネルによって行われているが、その分子実体は未だ謎のままである。 クラミドモナスの鞭毛運動を制御するイオンチャネルを明らかにする目的で、クラミドモナスのゲノムDNA配列データベースのドラフトからイオンチャネル遺伝子の探索を行った。カルシウムチャネル、TRPチャネル、TPCチャネル、ポリシスチン、機械受容チャネルに対して相同性検索を行ったところ、17個のホモログが見つかった。これらのホモログが細胞で発現しているかを明らかにするために、RT-PCRを行い、イントロンが取り除かれているcDNAが増幅されるかを調べた。その結果、少なくとも8個の遺伝子が発現していることが分かった。 発現していることが分かった遺伝子の中には、原核生物で見つかっている機械受容チャネルのホモログが含まれていた。クラミドモナスのホモログの全長cDNAを決定したところ、チャネルの機能を果たす上で重要と考えられているイオンが通るポアの部分が特に相同性が高かった。現在、電気生理学的な機能解析を行うための準備を進めている。 クラミドモナスは鞭毛に機械刺激を受容する能力があること、細胞体にも機械受容チャネルがあることが分かっている。今回見つかったホモログがどの機能に関わっているかは興味深い問題である。また、原核生物でしか見つかっていなかったチャネルが真核生物であるクラミドモナスで見つかったことは、進化を考える上で大切な発見である。
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