2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16370054
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Research Institution | KINKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
赤坂 一之 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (50025368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤澤 雅夫 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (20258065)
安東 由喜雄 熊本大学, 医学部, 講師 (20253742)
橘 秀樹 神戸大学, 理学部, 助教授 (70126118)
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Keywords | アミロイドプロトフィブリル / ニワトリリゾチームのS-S / 圧力ジャンプNMR / 高圧蛍光 / 圧力によるプロトフィブリルの解 / プロトフィブリル解離の活性化体 / トランスサイレチンの変異型 / トランスサイレチンの熱力学安定 |
Research Abstract |
1.圧力ジャンプNMR測定による、アミロイドプロトフィブリルの会合・解離:遺伝子工学的にSS結合を消失させたニワトリリゾチームのS-S欠損変異体は、常温常圧下では3次元立体構造は形成せず、塩存在下で速やかにオリゴマーを形成し、数ヶ月の間に完全なプロトフィブリルを形成する。30-2000気圧への圧力ジャンプNMR測定から、2000気圧の加圧により、オリゴマーはモノマーに解離し、数日の間に、完全なプロトフィブリルもモノマー状態に解離することが明らかとなった。また、2000-30気圧への圧力ジャンプNMRから、モノマーからオリゴマー、プロトフィブリルの形成は完全に可逆的であり、モノマー-オリゴマー間の平衡が、圧力により完全に制御可能であることを示した。 2.さらにアミロイドプロトフィブリル解離のキネティックスを、高圧蛍光を用いて初めて詳しく研究した。自然に変性状態にあるニワトリリゾチームのS-S欠損変異体がつくるプロトフィブリルについて、圧力により加速される解離反応をトリプトファンの蛍光によりモニターした。蛍光の時間変化の解析とプロトフィブリルの線維長分布の解析から、プロトフィブリルの成長と消滅は、線維の端にモノマーが付加するのと線維の端からモノマーが解離するのとよりなるlinear polymerization mechanismにより進行することが明らかになった。さらに、解離の活性化体積(?V^<o‡>=-50.5?1.60ml mol^<-1>)と負の活性化圧縮率、平衡状態でプロトフィブリルの解離に伴う大きな負の体積変化を明らかにした。この成果は今後のアミロイド線維機構に関して、貴重な示唆を与えるものである。 3.家族性アミロイド病のもととなる蛋白質ヒトトランスサイレチンに関して、野生型と病原性の変異型(V30M)の熱力学的安定性を、高圧蛍光実験に基づいて解析した。体温から0度付近までの低温領域では、温度低下とともに安定性は低下し、低温変性の傾向を示す。また、どの温度においても、野生型に比べて変異型がより不安定である結果を得た。これにより、V30Mによるアミロイド形成の直接の要因にはその熱力学的不安定性が関係するとの、高圧NMR実験からの代表者らの考えが支持された。
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Research Products
(4 results)