2004 Fiscal Year Annual Research Report
「コミュニティ・エフェクト」を明らかにするオンチップ一細胞計測解析技術の開発
Project/Area Number |
16370068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 賢二 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (20313158)
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Keywords | オンチップ細胞計測 / マイクロチャンバ / 1細胞培養 / 大腸菌 / 酵母プリオン / 神経細胞ネットワーク / 心筋細胞ネットワーク / 金ナノ粒子 |
Research Abstract |
本年度は、まず各要素技術の開発を開始し、開発中の装置を細胞計測に利用してデータを採取することで実用性についても検討を行った。具体的には、(1)(細胞相互作用制御+細胞培養+細胞状態観察)技術を組み込んだ微量細胞培養マイクロチャンバシステムの開発では、(1)マイクロファブリケーション技術により数十ミクロン程度の大きさのマイクロチャンバを作成し、これの上面に半透膜のシールを行い、その上に培養液を循環させる。これにより、各細胞の自由な相互作用を抑制するシステムを構築し、これを用いて、運動する大腸菌中でのGFP修飾Tarタンパク質の細胞内局在の変化が、環境からの刺激によってどのように応答するかを計測した。また、酵母中にGFP修飾プリオンを発現させ、環境からの刺激の変化によって凝集体がどのように凝集・乖離するかを、細胞の世代をまたがって初めて計測することに成功した。(2)細胞間の相互作用を制御することが可能な新しいマイクロチャンバシステムの開発とこれを用いた細胞培養手法の開発を通じて、世界で初めて神経細胞のAxonとDendriteを区別して神経細胞ネットワークを構築し、この神経細胞ネットワークの各細胞の電気刺激・応答を1細胞単位で計測することに成功した。(3)また、心筋拍動細胞のネットワークパターンを経時的に変化させる技術を確立し、心筋細胞の拍動安定性と細胞集団数の関係を明らかにし、拍動安定性に対するコミュニティ・エフェクトの効果を実験的に示すことに初めて成功した。(2)1細胞mRNA発現解析技術については、金ナノ粒子にプローブDNAを結合させ、この金ナノ粒子が細胞中のターゲットmRNAとどのような相互作用をするか計測し、PCR等の増幅手段を用いなくても、ターゲットの存在を定量的に計測できることを確認した。
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