2007 Fiscal Year Annual Research Report
スプライシング依存性複合体EJCによる神経細胞でのmRNA局在化機構の解析
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16370078
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
片岡 直行 Tokyo Medical and Dental University, 難治疾患研究所その他, 特任講師 (60346062)
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Keywords | スプライシング / Exon Junction Complex / キャップ構造 / 神経細胞 / 核内キャップ構造結合複合体 / Y14 / 細胞質内輸送 |
Research Abstract |
真核生物における遺伝子発現の諸過程は互いに密接に関運していることが近年明らかになってきた。その一例として、スプライシングは、エクソンとエクソンの境界付近にexon junction complex(EJC)というスプライシング依存性複合体を残すことで、下流の遺伝子発現過程に影響することがある。EJCの構成因子であるYl4とMagohのヘテロダイマーは、核内でmRNA上に結合した後、細胞質に輸送後もmRNA上にとどまり細胞質EJC(cEJC)を形成する。このことから、細胞質でのRNA局在やNonsense Mediated mRNA decay(NMD)に関わることが強く示唆されていた。実際に、キイロショウジョバエの相同因子が、卵母細胞でのoskar mRNAの細胞質内局在に関わることが示された。また、Y14とMagohがNMDに関与することは我々を含めていくつかのグループが明らかにしている。 本研究では、哺乳動物においてもEJCがスプライシングとRNA局在との連携を司っているのではないかと考え、その分子機構を、RNA局在が多く知られている神経細胞を用いて解析を行ってきた。そして神経細胞の突起中に、核内キャップ構造結合体とYl4が結合したまま輸送されていると考えられる複合体の存在を見出した。NMDは核内キャップ構造結合体とEJCとが結合したmRNA上で起こると考えられているため、神経細胞においてもNMDが存在することが示唆された。そこで、細胞内でNMDの標的となっているUHG,Gas5の両mRNAについて調べたところ、神経細胞内でもNMDが起こっていることが明らかになった。また同様に一過性に発現し、局在化するArc mRNAについても解析したところ、このmRNAはNMDだけではなく、別の機構でも速やかに分解されていることが明らかとなり、神経細胞内での局在化と分解との関連が強く示唆された。
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