2005 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリア・セントロメア様配列migSの染色体分配機構における分子機能の解明
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16370082
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
仁木 宏典 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (70208122)
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Keywords | バクテリア / セントロメア / 染色体分配 / 細胞分裂面 / 複製起点 / 合成致死変異株 |
Research Abstract |
バクテリアでは、複製した染色体領域から順次、細胞の両極方向へと仕分けされ、まとめ上げられることで染色体の分配が行われる。この時の複製した染色体の両極方向への移動は、染色体複製起点領域oriCで顕著であり、実際にこの近傍に両極方向への移動に必要な機能領域が見つかった。このバクテリアのセントロメアとも言える機能配列migSはたかだか25bpであるが、これが位置する染色体領域は、複製し倍加すると両極方向へと移動する。 確かにmigSの欠失株では、oriC領域のすみやかな両極移動が阻害されるのだが、染色体分配のそのものには特に障害は見られず、染色体を受け取り損なう細胞の割合は特に増加しない。バクテリアでは重複した機能を持つ遺伝子の働きにより、機構全体の忠実度が維持されている例がこれまでに知られている。染色体の分配においても、このような保証機構が働き、migSの機能を補っていることが考えられる。そこでmigSの欠失と同時では細胞の増殖に低下がみられるような、いわゆる合成致死変異株の分離を行った。この分離方法により、染色体全体の細胞内での位置を決めることに関与すると考えられる因子PhoUを見いだした。PhoUはリン酸の細胞内取り込みに関係する遺伝子群の発現制御に関与する因子と考えられたこともあったが、現在ではこれは間接的な影響と考えられる。PhoUは核様体の細胞内での位置決定にも関与し、これが細胞分裂面の決定機構とも関連している。また、migSの移動の分子機構を明らかにするため、この配列に作用するタンパク質因子を同定した。バクテリアのセントロメアmigSに関わるこれらの遺伝子の働きを通し、バクテリアの染色体分配について、分子機構の一部が明らかになった
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