2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞運動と神経突起形成におけるPDK1-Akt経路の活性化と機能
Project/Area Number |
16370085
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 由季子 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 助教授 (70252525)
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Keywords | Akt / 細胞運動 / PDK1 / 増殖因子 / 細胞極性 |
Research Abstract |
NIH3T3細胞においてPDGF刺激による運動性の上昇にはAktの活性が必要である。リン酸化型(活性型)Aktは移動している細胞の先端部(leading edge:先導端)に局在している。先導端においては新たな接着班が形成され、小胞の細胞膜融合が起こり、微小管の安定化とアクチン重合が起こって膜の進展が起こると考えられている。優性抑制型のAktを発現すると細胞運動が抑制されるが、先導端におけるアクチン重合には大きな影響は見られなかった。従ってAktは先導端における他の機構に関与していると考えられる。優性抑制型Aktを発現した細胞、あるいはAktの活性化因子であるPDK1のノックアウト細胞について検討した所、細胞が丸く極性を失っているような形態を示す事に気づいた。そこでPDK1-Akt経路の上流の因子であるPI3Kの産物PIP3の局在をモニターする為に、PIP3と比較的特異的に結合するPHドメイン(Akt由来)とGFPの融合タンパク質を細胞に発現させた。通常はPH-GFPは先導端に局在するが、優性抑制型のAktを発現させた細胞においてはPH-GFPの局在が先導端に偏らず膜全体に広がってしまう事がわかった。これまでにBourneのグループからPIP3のシグナルには正のフィードバックが存在することが示唆されていたが、今回の結果は、このフィードバックにPDK1-Akt経路が関与する事を示していると考えられる。現在このフィードバック機構におけるAktのターゲットを検索しており候補を得ている。
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