2005 Fiscal Year Annual Research Report
Fasを介する細胞死誘導シグナルと細胞増殖および分化誘導シグナル間相互作用の解析
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16370086
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
米原 伸 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (00124503)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
李 慶權 京都大学, 生命科学研究科, 助手 (50303912)
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Keywords | シグナル伝達 / 生体分子 / 遺伝子 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
1.レンチウイルスベクターとCre-loxPシステムを用いた新しい発現誘導システムを構築し、これを用いてヒトT細胞白血病ウイルスのがん遺伝子産物TaxをヒトT細胞株CEM-C7に発現誘導した。また、レンチウイルスベクターを用いたshRNA発現システムを用いて、Fas誘導アポトーシスを抑制する分子c-FLIPの発現抑制系を構築した。これらのシステムを用いることにより、T細胞においてはTaxの発現誘導によってNF-κBの活性化を介するc-FLIPの発現が誘導され、これによってFasを介するアポトーシスが阻害されることを証明した。 2.ウマγヘルペスウイルスがコードするviral FLIP E8はFasを介するアポトーシスを阻害するが、同時にWntシグナルを増強することを見いだした。この活性は、広い範囲の細胞株において認められ、β-catenin安定化より下流で働くことを明らかとした。また、E8によって増強されたWntシグナルによって、KB細胞では細胞増殖の増強が認められ、3T3細胞や胎児線維芽細胞では細胞増殖の強い抑制が認められた。Wntシグナルが細胞種によっては細胞増殖に対して正反対の効果を付与すること、正常細胞に近い細胞種では細胞増殖抑制や細胞死を誘導することを明らかにした。さらに、E8に会合するタンパク質の同定を行った。E8を恒常的に発現する細胞株では、Fasを介するアポトーシス抑制機能は安定して保たれるのに対し、Wntシグナル増強活性は失われていくことが明らかとなったので、上記レンチウイルスベクターを用いた発現誘導系を用いた。そして、発現誘導を行ったE8と会合するタンパク質を、共免疫沈降→SDS-PAGE→LC-MS/MS解析を行うことによって三種類同定した。これらのE8会合タンパク質のWntシクナルに対する影響を現在解析中である。
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Research Products
(5 results)