2004 Fiscal Year Annual Research Report
メダカ属魚類をモデルとした性決定遺伝子の進化機構に関する研究
Project/Area Number |
16370094
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
酒泉 満 新潟大学, 理学部, 教授 (40175360)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱口 哲 新潟大学, 理学部, 教授 (20126444)
成瀬 清 東京大学, 大学院・理学系研究科, 講師 (50208089)
|
Keywords | メダカ / 性決定様式 / 性染色体 / 性決定遺伝子 / メダカ属 / 分子系統 |
Research Abstract |
メダカOryzias latipesの性決定様式はXX-XYの雄ヘテロ型であり、性染色体はメダカ連鎖群(LG)1、性決定遺伝子はDMYである。本研究ではメダカの近縁種の性決定様式・性染色体・性決定遺伝子を明らかにすることにより、性決定システムの進化機構を明らかにすることを目的にしている。本年度までの成果は以下の通りである。 1.メダカ属魚類15種の分子系統解析により、これらはlatipes種群、javanicus種群、celebensis種群に分類された。latipes種群では最初にメコンメダカ、続いてメダカが分岐し、最後にハイナンメダカとルソンメダカが分岐していた。 2.メダカに最も近縁な種の一つであるハイナンメダカの性決定様式・性染色体はXX-XY型、LG1であり、DMYが性を決定していると考えられるが、latipes種群に属する他の2種の性決定様式はいずれもXX-XY型で、性染色体はルソンメダカがLG12、メコンメダカがLG2であった。 3.ルソンメダカ性染色体の連鎖解析により、性決定遺伝子はeyelessとSA025F03の間((2.5cM)に位置していた。性決定遺伝子同定に向けてルソンメダカXY雄のフォスミドライブラリーとXX雌のBACライブラリーの作成を開始した。 4.メコンメダカ性染色体の連鎖解析により、性決定遺伝子はLG2と相同な染色体の末端に位置し、AU172181など7つのマーカーと完全連鎖していた。生殖巣の初期性分化過程を継時的に観察したところ、XY個体では卵形成を開始後に雄方向への性分化が起こることが明らかになった。 5.kavanicus種群では、ハブスメダカの性決定様式・性染色体がZZ-ZW型・LG5であるのに対し、インドメダカではXX-XY型・LG10であった。また、タイメダカはZZ-ZW型で性染色体はメダカLG8と相同であることが示唆された。
|