2004 Fiscal Year Annual Research Report
針葉樹進化の一般的特性及びその適応進化についての集団遺伝学的研究
Project/Area Number |
16370101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
舘田 英典 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70216985)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津村 義彦 独立行政法人森林総合研究所, 室長(研究職) (20353774)
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Keywords | 針葉樹 / 遺伝的多様性 / 集団遺伝学 / 適応的変異 / 自然淘汰 / ヒノキ科樹木 / 分子進化 / 中立進化 |
Research Abstract |
針葉樹遺伝字進化の一般的性質を明らかにするとともに、適応進化が起こったと考えられる候補遺伝子や、多重化を伴うと考えられる耐病性遺伝子を詳しく解析することにより、世代の長い生物でどのように適応進化が起こっているかを解明することを目的とし次の研究を行った。1)更に7遺伝子座でスギの集団内変異及びヌマスギとの種間変異を調査した。これまでの9遺伝子座と合わせて合計16遺伝子座の種内・種間比較解析(McDonald & Kreitman test)から、適応進化候補遺伝子を2,弱有害的進化を行っている遺伝子2、同定した。2)二つの適応進化候補遺伝子についてヒノキ科樹木複数種の相同遺伝子の配列を決め、最尤法を使って解析したところ、両遺伝子とも非同義置換速度が同義置換速度を上回っている領域がみつかり、スギ・ヌマスギの近縁種間のみでなく、広くヒノキ科全体でこれらの遺伝子が適応進化していることが推測された。3)ヌマスギ集団の解析を行うために、ミシシッピー川沿いの5集団で種子のサンプルを行い、現在DNAを抽出中である。4)スギなどの集団では氷河期・間氷期のサイクルにより、集団の分断化・融合が過去にほぼ周期的に起こったと考えられる。このような集団で遺伝的変異量や連鎖不平衡量がどのように変化するかを明らかにするために、モデル解析を行った。分断化・融合の時間と集団サイズの関数として二つの量を計算し、このモデルのもとでは特に連鎖不平衡量の染色体に沿った変化のパターンが、一定サイズ集団の場合と大きく異なることを明らかにした。5)植物葉緑体遺伝子のGC含量について解析し、種による突然変異パターンの違いがその進化に大きな役割を果たしていることを明らかにした。
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