2004 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアに局在するオオムギ半矮性系統“渦“の進化的・形態的・生理的な多様性解析
Project/Area Number |
16380008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
武田 和義 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (90003516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
最相 大輔 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (90325126)
力石 和英 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助手 (90220798)
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Keywords | オオムギ / 渦性 / 多様性 |
Research Abstract |
これまでに研究代表者らは,オオムギ渦性がHvBRI1座内の1つの共通したSNPに起因すること,この単一の変異が東アジアに広く適応したことを明らかにした.本研究では,世界中で東アジアに特異的に分布するオオムギ半倭性系統‘渦'について,(1)渦系統の系統分化,(2)子葉鞘の突起およびdm型節間伸長といった渦性特異的な形態的特性の多様性,および(3)渦系統の再分化特性の多様性について,広く東アジア全域から収集した渦系統を材料に,HvBRI1座近傍に座乗する分子マーカーを使った系統解析や,形態的・生理的特性の異なる渦系統のダイアレル分析を実施し,渦性変異の起源に関する分子レベルの知見を得ると共に,渦系統で見出された形態的・生理的多様性に関わる遺伝子座の検出を目的とする.今年度は,(1)〜(3)のそれぞれについて,次のような研究を実施した. (1)HvBRI1遺伝子が座乗するBACクローンを4クローン単離し,それらを整列化して周辺領域のコンティグを作製した.現在これらの配列を決定し,系統解析に用いる分子マーカー作製を進めている. (2)日本,朝鮮半島および中国本土に分布する渦系統を材料に,子葉鞘の突起およびdm型節間伸長の出現頻度とその発現の温度反応について調査を進めている.同時に,ダイアレル分析およびQTL解析に使用する分離集団の育成に着手している. (3)並・渦性の同質遺伝子系統を用いてオーキシン・サイトカイニンに対する応答性を調査した.未熟胚からのカルス形成および発芽に及ぼすオーキシンの影響を調査した結果,渦系統では並系統に比べて低濃度のオーキシンによりカルス形成の促進および発芽の抑制が認められた.このことは,オーキシンに対する感受性が並・渦系統間で異なる可能性を示唆する.現在,受粉後約2週間の未熟種子におけるオーキシン・サイトカイニン応答性遺伝子の発現量を定量PCRにより解析している.
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Research Products
(5 results)