Research Abstract |
セイロンベンケイ,コダカラベンケイ,パインアップルの葉から抽出したPEPCの制御特性について検討した.2mMリンゴ酸共存下で測定したPEPC活性は2種類のベンケイソウで12:00に約75%の活性阻害が生じたが,24:00と4:00ではセイロンベンケイでは18%と10%,コダカラベンケイでは27%と25%の阻害しか生じなかった.パインアップルPEPCでは,昼間では70%,夜間には50%の活性阻害が生じた.2種類のベンケイソウのPEPCは20:00にリン酸化が最大となったが,パインアップルPEPCのリン酸化は24:00に最大となった.3種類のCAM植物でのPEPCのリン酸化の程度は夜間に最大値を示した後,翌朝にかけて減少し,昼間にはリン酸化が観察されなかった.いずれのPEPCのN末端に同様なSer-11のリン酸化ドメインを保持していた.また,2種類のベンケイソウではPEPC遺伝子の発現が日変化し,20 : 00に発現が最大となりWestan BlotでみたPEPCタンパクの日周変化と良く一致した.しかし,パインアップルPEPCでは遺伝子発現の日変化は観察されなかった.さらに,パインアップル葉身のPFPはα,βの2種類のサブユニットで構成されていることが明らかになり,PFP活性制御については他の植物と同様にαサブユニットの関与が示唆された.また,ミトコンドリアの電子伝達鎖におけるチトクロムオキシダーゼ(COX)とオルタネイティブオキシダーゼ(AOX)への電子伝達経路においても,ME型CAMのベンケイソウではAOXへ,PCK型CAMのパインアップルではCOXへ偏った電子の流れが存在することが観察され,このことは昼間のリンゴ酸脱炭酸にATPを必要としないME型CAMとATPを必要とするPCK型CAMの特性と一致することが示された.
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