2006 Fiscal Year Annual Research Report
落葉果樹における栄養体貯蔵タンパク質の蓄積と分解機構の解明
Project/Area Number |
16380027
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
野村 啓一 神戸大学, 農学部, 助教授 (60252798)
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Keywords | ニホングリ / 栄養体貯蔵タンパク質 / レクチン / グルタチオントランスフェラーゼ / 休眠 |
Research Abstract |
クリ樹(‘国見')の各器官における,可溶性タンパク質の年次変動において,休眠期に顕著な増加を示した28kDaポリペプチドのクローニングを行った.その結果,28kDaポリペプチドはグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)であることを明らかにした。GSTは量的には冬期の可溶性タンパク質の10%以上を占めていた.また,ノーザン解析の結果,GSTは晩秋から早春にかけて発現していた.以上の結果は,ニホングリにおいては,GSTが休眠期の栄養体貯蔵タンパク質として機能していることを示唆している.なおGSTが休眠に関与しているという報告はこれが初めてである.一方,ニホングリレクチン(CCA)は,4,5,月の木部,芽,幼葉及び花において発現を認めた.この結果は,CCAも同じく栄養体貯蔵タンパク質として機能しているが,GSTとは異なって,若い器官での窒素の一時的貯蔵がその役割であることを示唆している. 単一ドメインCCAに該当するcDNA(LECsCCA)は,CCAの発現している器官全てにおいて検出できたが,明確な翻訳領域は存在せず,偽遺伝子であると結論付けた.一方,CCAのプロモーター領域の配列を,Tail-PCRによって約1kbp上流まで明らかにした.CCAの属するジャッカリン近縁レクチン(JRL)で,プロモーター領域の配列が登録されているのは,ソテツとバナナだけであり.これらの配列とシスエレメントの類似性を調べたところ,いずれにおいても種々のストレスに対応するエレメントが散在していた.近年,JRLホモログが様々な植物に多数見られるとの報告があり,JRLは植物に普遍的な生体防御タンパク質と考えられている.今回の結果はこの仮説を支持するもので,今後のdeletion analysisに重要な知見を与えたと考えられる。
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Research Products
(1 results)