2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16380032
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 雄一郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (60183125)
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Keywords | 植物ウイルス / タバコモザイクウイルス / 細胞間移行 / GFP / リアルタイム / 植物免疫 / タバコ / 抵抗性反応 |
Research Abstract |
移行タンパク質(MP)は、タバコモザイクウイルスの感染した細胞内で、感染後4-14時間ほどの時間枠内で合成される。MPがウイルスの移行に関わる機構を探るために、GFPタンパク質と融合したMPを発現するウイルスを作成し、このウイルスの細胞間移行能の観察を継続している。植物体の葉への感染を行い、感染中心の細胞を探し当て、その細胞内でのMP:GFP融合タンパク質の挙動を観察した。本年はあわせて、複製タンパク質の挙動とあわせて観測することを行った。感染後14時間後ほどで細胞内にVMCと名付けた構造体が形成されるが、そのVMCと複製酵素の局在が重なることが見いだされた。その共局在は、感染後16-20時間と経過するにつれ、はっきりとしてくる。感染後20時間にはVMCは動きをしなくなるが、その時点で複製酵素ははっきりとVMCとの共局在をしめす。その際に、先行研究でわれわれが得ていたURhelという複製酵素変異体をもちいて、同様の複製酵素とMPの局在を比較したところ、共局在が曖昧、あるいは見られないことが判明した。つまり、複製酵素が野生型で機能をもち、細胞間移行能を保持している際には、複製酵素とMPが共局在している。そして、複製酵素の変異で細胞間移行が見られなくなった変異体ではその共局在が崩れるということが明らかとなった。こうした知見は、複製酵素とMPの動的な共局在が、VMCによるウイルスの移行というものに大きな貢献を果たしていることが示唆された。こうした細胞レベルでの細胞間移行のさまがとらえられたことで、今後のウイルス抵抗性を考察する上で重要な知見を得ることができた。
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