2005 Fiscal Year Annual Research Report
ジャガイモXウイルスによる病徴発現に関わる宿主植物因子の網羅的解析
Project/Area Number |
16380033
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宇垣 正志 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (20323438)
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Keywords | 植物ウイルス / 病徴発現 / モザイク / 輪状斑 |
Research Abstract |
Potato virus X(PVX)はポテックスウイルス属に属し、約6kbのプラス1本鎖RNAゲノム上に、複製酵素、TGBタンパク質1、2、3、および外被タンパク質(CP)の5遺伝子をコードしている。PVXがタバコに引き起こすモザイク、輪状斑、無病徴の3種類の病徴を決定しているPVXゲノム上の配列を、次の2箇所とすでに同定した。a)ゲノムの5'非翻訳領域にある58番目の塩基がAならば輪状斑を、Gならばモザイクを引き起こす。b)ただしそれは複製酵素の1422番目のアミノ酸がAspの場合であり、このアミノ酸がGluになると、58番目の塩基にかかわらず無病徴となる。そこで、同じポテックスウイルス属に属するPlantago asiatica mosaic virus(PlAMV)のN.benthamianaに引き起こすモザイク、枯死の病徴についても、同様にそれらを決定しているゲノム上の配列を調べた。その結果、複製酵素の1154番目のアミノ酸がTyrの場合にモザイク、Cysの場合に枯死となることを明らかにした。 PVXのゲノムの58番目の塩基のみが異なるOS系統(輪状斑)とOS58G系統(モザイク)の感染植物体およびプロトプラストにおける蓄積量を比較したところ、系統間に有意な差はなかったが、ウイルスが植物体内で拡散する速度はOS系統が有意に遅かった。また、OS系統感染植物では、輪状斑の部位で過敏感細胞死(HR)に似た植物の反応が見られ、さらにin situハイブリダイゼーションで、ウイルスは輪状斑の外側に拡がっていることがわかった。 前年度に引き続き、酵母two hybrid系による宿主因子の探索を進めた。
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Research Products
(2 results)