2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16380041
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
齊藤 準 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (60221991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小谷 英治 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助手 (10273541)
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Keywords | 変態 / エリサン / 脱皮液 / ビリベルジン / ビリン結合タンパク質 / リサイクル |
Research Abstract |
本研究では、変態期における幼虫皮膚タンパク質のリサイクルといった視点から、1)生合成系、2)分解系、3)リサイクル系の3つの系について解析を進めることで、変態の分子機構の解明を目指している。本年度は最終年度であることから、エリサンの幼虫期、幼虫→蛹への変態期、蛹期における体液、皮膚、中腸内容物および脱皮液中のタンパク質成分についての総合的な解析を行った。BBP抗体による解析と遺伝子発現解析の結果から、BBPは、幼虫の真皮細胞で合成され、体液および表皮に分泌されることが明らかになった。特に幼虫体液中に2種類(BBP-I,BBP-II)が存在し、表皮中にはBBP-IIのみが存在するが、幼虫体色の異なる2系統(青色・黄色)問でBBPの存在について比較したところ、黄色系統では体液中にBBP-IとIIに加えて新規のBBP(BBP-0)が存在し、表皮でもBBP-IIに相同するタンパク質が存在した。これら結果は、幼虫体色に体液中のBBPは直接関係ないことを示すもので、体液のBBPが真皮を横切って表皮に蓄積するのではないことを強く示唆した。BBPを指標タンパク質として、変態にともなう幼虫皮膚タンパク質の動態を調べると、それらのタンパク質は蛹脱皮の約72時間前あたりから分解が始まり、いったん液状の脱皮液中に蓄積した。その後、蛹化にともない中腸内へ移行することが確認され、成虫化にともなって中腸内で分解された。全ての幼虫皮膚タンパク質は、成虫化に利用されていることが明らかになった。また、幼虫表皮に存在する48kDaのヘモリン様タンパク質が高濃度で存在することが、このタンパク質は幼虫期では表皮の生体防御に関係し、蛹期では中腸に移行することで、期間の初期段階では中腸内環境の安定化に関与し、後半の成虫化にともない成虫組織の形成のために分解・利用されるものと考えられた。
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Research Products
(1 results)