Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤山 英保 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 教授 (90108796)
北村 義信 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 教授 (80284008)
井上 光弘 国立大学法人鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (90032309)
山本 定博 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 助教授 (30200801)
山田 智 国立大学法人鳥取大学, 農学部, 助手 (80294346)
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Research Abstract |
乾燥地における土壌劣化の防止と修復のためには,土壌の塩類化やアルカリ化のメカニズムとともに植物生育との関連についての基礎的な研究が極めて重要である.今年度は,乾燥地における土壌劣化の実態を把握するため,年間降水量200mm以下の乾燥気候下にあるメキシコ合衆国・カリフォルニア半島南部の農業地帯を調査し,塩類集積状況とともに灌漑に利用されている地下水の水質との関連を明確にした. いくつかの農地の土壌調査を行なった結果,土壌中への塩類集積状況は,農地によって明瞭な差異が認められた.砂質農地では過剰灌慨の傾向があり,表層への塩類集積の危険性は少なかった.しかし,土壌のアルカリ化が進行している農地も点在しており,灌慨水中のナトリウム塩が土壌中に残存した結果と考えられた.これらの農地では,節水節肥栽培による管理法を行うことで,水資源の枯渇を防止するとともに,土壌劣化を防止することが重要であると考えられた.また,海岸近くの砂質農地では,地下水中に海水が混入し始めている地域もあり,灌慨水中の塩類濃度の上昇とともに,土壌の塩類化が急速に進行していた.今後,これらの農地の管理には充分な留意が必要である.一方,粘質農地の表層には,長期の過剰灌慨によって白色の塩類結晶が多量に析出し,表層のみならず,土壌断面内にも塩類集積が認められ,集積塩類の主要形態は塩化物塩と炭酸塩であった.灌慨水の塩類濃度は比較的高く,灌慨水中のナトリウム炭酸塩が土壌に多量に付加した結果,ソーダ質土壌が生成されており,土壌のアルカリ化も併発していた農地もあった.このような農地では,石膏等の土壌改良剤,ビート等のクリーニング作物の導入によって塩類を作物に吸収する試みも有効であると考えられた. 今後,引き続き,詳細な調査および土壌,灌漑水の分析を行ない,乾燥地の土壌劣化の機構解明や灌漑法,施肥法の対策を検討する予定である.
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