2005 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地における土壌劣化機構の解明と特続的農業発展のための環境修復
Project/Area Number |
16380050
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
本名 俊正 鳥取大学, 農学部, 教授 (90093624)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤山 英保 鳥取大学, 農学部, 教授 (90108796)
北村 義信 鳥取大学, 農学部, 教授 (80284008)
井上 光弘 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (90032309)
山本 定博 鳥取大学, 農学部, 助教授 (30200801)
山田 智 鳥取大学, 農学部, 助手 (80294346)
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Keywords | 乾燥地 / 土壌劣化 / 塩類集積 / ソーダ質化 / 洪水利用農法 / カリフォルニア半島 / 地下水 / 節水灌漑 |
Research Abstract |
乾燥地の灌概農業地帯における土壌劣化の実態とメカニズムを把握するための現地調査(メキシコ合衆国・カリフォルニア半島),除塩過程における土壌塩類動態の基礎的な検討等を主体に実施した. 1)カリフォルニア半島南部最大の灌漑農業地帯(コモンドゥー地域,灌漑潮面積1900km^2)を調査した.この地域は灌概水を地下水に依存し,畝間,水盤灌漑が主要な方法であった.地下水は塩分濃度が高く(EC=1〜7dS/m),塩性害の危険性が高くなっていた.特に北部地域では海水混入により水質が悪く,土壌表層の塩類集積量も多い傾向が認められた.この地域での土壌表層への塩類集積量は,下層土の土性と灌漑水の塩分濃度によって説明され,下層土が粘質で透水性不良の土壌に高塩分濃度の地下水を灌漑すると表層に多量の塩類が集積することが示された.地下水資源の枯渇が危惧され,水質も悪化傾向にあるこの地域では,節水灌漑に移行することが土壌劣化を防止し農地を持続的に利用するためのキーである. 2)同半島内で行われている洪水利用農法を調査・分析し,以下の有効性を明らかにした.(1)河床部土壌は粘土,シルト含量が高いが,多孔質で植物根痕が認められ,洪水通過時には速やかな浸潤を促し,植物根の伸長を助ける.(2)洪水によって河床堆積土砂中に貯えられた土壌水分は,有効土層まで上向き補給され,作物栽培を可能にする.(3)洪水時の流速が遅いため,上流域から流下してきた浮遊土砂が河床に堆積し,多量の窒素分を補給する.(4)洪水によるリーチング作用により塩類集積は生起せず,農地のアルカリ化も洪水によるカルシウムイオンの補給により緩和される. 3)除塩過程における塩類動態をカラム実験で分析した.除塩に対する灌漑水の水質の影響は小さいが,除塩後も水を流し続けると,わずかに含まれる重炭酸イオンが土壌のpH,SARに影響し,土壌の化学的劣化を招く危険性が明らかになった.
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Research Products
(4 results)